こんにちは、無印良品イーアス春日井です。
本日もイーアス春日井 MUJIBOOKSスタッフが毎日お伝えしている
「今日のずっといい言葉」から、素敵な言葉をお届けしようと思います。
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でも、その人が間違っていないとき、
ただ性格が合わないだけだとか、その人の役割的にそうせざるを得ないんだなぁと分かるときは、
その人の望む自分でいる努力をするんです。
『おまじない』
西 加奈子
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「おまじない」は西加奈子さんが紡ぐ、おまじないの言葉が詰まった短編集。
少女、ファッションモデル、マタニティなど、様々な女性の人生が言葉のおまじないによって救われていく物語です。
「すべての女の子や女性を肯定する作品を作りたいと思った」と著者の西さんはインタビューで答えています。
そしてそれを救い出す役割として描かれるのは、様々な「おじさん」。
現実ではおじさんが女の人を言葉で救うこともきっと多いとは思いますが、
小説でそれが描かれることはなかなかない気がします。
今日のずっといい言葉も、そんな描かれにくい言葉のひとつ。
自分を偽ることや、取り繕うことは悪だと言われがちですが、
そんなことはないんだよ、という一文です。
ぼくはこのお話の中でのおじいちゃんの考え方がすごく好きです。
「正直なことと優しいことは別なんだ」という考え方。
誰にだっていやな部分はあります。
ぼくも気がついたら誰かのことを嫌ったり、妬んだりしてしまいます。
そういう嫌な部分を、本人に伝わらないようにすることを、
「陰湿だ」なんて言ってしまうより、「優しい」と言う方が素敵だと思います。
ただ、ここでおじいちゃんが言う通り、
「悪態をつくのは本当に信じられる人にだけです。
インターネットで書き込むなんてもっての外、それは本当に卑怯なことです。
とにかく本人の目に触れる、耳に入る可能性のあることは絶対にすべきではない。」
この言葉は、とても大事なことだと思います。
嫌な人でもいいから、優しい人でありたいです。
ここで描かれている短編は、あらゆる人や考え方を肯定しようとしているように思います。
「女の人」「男の人」「子供」「大人」なんて言葉ではくくれない。
それぞれの考え方をそれぞれの人が持っています。
人をカテゴリーで分けて共通の敵を作ることは簡単だけれど、とても危ういこと。
「多様性」なんていう言葉も広がってきたけれど、
その根本にあるのはその人がその人らしくあること。
女性が仕事をして、男性が家事をすることがイコール多様性になるわけではない。
仕事も、家事も、自分らしいものを選べることが多様性です。
弱さも強さも、善も悪も、孤独も連帯も、すべてを肯定する。
それは、変わっていく自分を受け入れ続けるための「おまじない」です。
どうか、あなたがあなたのままでいられますように。
当店で取り扱いのある書籍から MUJIBOOKSスタッフが見つけた、いい言葉を伝えています。
中央広場にて「今日のずっといい言葉」毎日更新しておりますので、ぜひご覧くださいませ。
ではまた次のおたよりで。
無印良品イーアス春日井