【春日井】今日のずっといい言葉 MUJI BOOKS

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MUJI BOOKS

2023/01/29

こんにちは、無印良品イーアス春日井です。


本日もイーアス春日井 MUJIBOOKSスタッフが毎日お伝えしている


「今日のずっといい言葉」から、素敵な言葉をお届けしようと思います。

 
【春日井】今日のずっといい言葉 MUJI BOOKS


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夜どうし わたしの胸に


雪がふりしきりふりつもったので


朝 全世界がまっしろに


雪に覆われてしまった







『韓国現代詩選』


訳・編 茨木のり子







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本書は、茨木のり子さんがおよそ五十冊ほどの韓国の詩集の中から、


「まったく一種のカン」だけを頼りに選びとった詩集。


その「カン」というのは言葉に表すことのできない曖昧なものであるけれど、


詩を読むときに一番大切なものであるような気がします。


収録されている作品を読んでいると、やっぱり言葉には表せないけれど、


そこに確かに存在している世界観のようなものを感じます。




韓国の音楽やドラマや映画は日本で大きく受け入れられていますが、


近年になって、文学でも多くの作品が「K文学」として人気を博しています。


言語や文化の違いの壁を乗り越えて、日本に届く作品は、


どれも多くの人が惹きつけられるような素晴らしいものばかり。


その中でも、「K文学」の世界においては、詩というジャンルは突出しているように思います。





今回の「ずっといい言葉」の詩は、金汝貞(キムテジョン)氏という詩人が書いたもの。


編・訳者の茨木さん曰く、「愛を大きなテーマとする女性詩人」だそうです。


この一文は詩の冒頭で、「この積もった雪を見ることはできるけれど、


わたしの胸に積もった雪を見ることは誰にもできないのだ…」と続きます。


調べたところ、韓国でもそこまで雪が降ることは多くないらしいのですが、


ドラマや映画など、なんだか韓国の人は雪を特別に描いているような気がします。


この詩も愛がひとつのテーマになっています。




ぼくは、人と関わりあったり、愛しあう中で、どうしても孤独を強く感じてしまいます。


この人のことを、心から強く愛しているけれど、決してそのこころをわかってもらうことはできない。


背負っている悲しみや、感じていることを話すことはできるけれど、


決してそれをすべてわかってもらうことはできない。


それは、きれいな海の上にぽつんとゴミが浮かんでいるように、


愛というあたたかいものの中にいると、とても目立って見えてしまいます。




でも、この詩はただそれを悲しむだけではなく、このように続きます。


「雪に覆われた世界が自分の胸の中ということを、朝めざめた人たちは気づかない」


捉え方によって表情の変わる一文だと思います。


でも、ぼくにはこれがなんだか特別で嬉しいことのように思えました。


美しい景色を見て、美しいと感じられるのはその感性を自分が持っているからです。


ならば、「こんなにも美しい」「こんなにも素晴らしい」と感じられるものごとは、


他の人には感じられない自分だけのものです。


今見えている愛を、せいいっぱいに大事にしてあげてくださいね。



















当店で取り扱いのある書籍から MUJIBOOKSスタッフが見つけた、いい言葉を伝えています。




中央広場にて「今日のずっといい言葉」毎日更新しておりますので、ぜひご覧くださいませ。







ではまた次のおたよりで。





無印良品イーアス春日井