2018年3月に開業した当店がいよいよ、2月27日に大きくリニューアルオープンします。
海鮮丼の人気ブース「鮓」に加えて、あらたに「糀」「茶」「蒸」の3つのブースが店内中央のフードコート内に揃い、地元である堺に根ざした食がさらに充実します。
昨日の「茶」に続いて、本日は「糀」のブースをご紹介いたします。
当店ではカフェミールのシェフが惚れ込んで味噌汁などに使用しており、その味噌や甘酒は食品売場でもおなじみの看板商品となっている、あの糀屋雨風さんとの協業ですよ。
本社工場を取材させていただいた内容は改めてレポートにして配布させていただきますが、今日はその中のほんの一部をお届けしますね。
糀(こうじ)とは麹とも書きますが、米や麦などの穀物を蒸したものに麹菌を繁殖させたもので、2006年には日本醸造学会により国菌に認定されました。酒、醤油、味噌、塩糀、甘酒などの発酵食品の製造にその麹菌がつくりだす酵素が利用されることは良く知られる通りです。麹の歴史はとても古く、紀元前の食生活の中にすでに存在していたと言われます。
雨風さんは1689年と言いますからなんと江戸時代に堺に創業されたのだそうです。雨が降っても風が吹いても休むことなく働いていたことに名前は由来するんだとか。私たちが取材でお伺いしたのは冬の朝7時。まだ朝が暗いうちからとっくに雨風の仕事は始まっていました。創業以来ほとんど変わらないという製法は、まず洗った米を木桶で蒸したのち、取り出して適温まで冷やします。白く立ちこめる湯気の中でしなやかに働く職人の精悍さ。人はなぜ働くのか、とそのひたむきな姿の中に想いました。
その後、手作業で麹菌を米に混ぜ合わせて室と呼ばれる杉で出来た温室に入れて繁殖を待ちます。木箱(もろぶた)に丁寧に敷き詰められた糀は温度調節と手入れが肝心で、3日ほど寝かした上にさらに冷却してようやく出来上がるのだそうです。
これが糀。白くてモコモコとしています。ほんのり甘く、栗のような香り。お米にふわりと花が咲いたみたいだからと「糀」という漢字を付けた日本人はロマンチックだなあ。
「糀」を塩と水に漬けて発酵させたものが塩糀。塩と蒸した大豆を混ぜ、樽の中で発酵させたものが味噌。炊いたお米に糀を混ぜて発酵させたものが甘酒になります。この糀を使用したお味噌や甘酒は工場直結の本店でも直売されています。15代当主の豊田実さんと16代当主の宣広さんは、製造販売のみならず、糀を使った味噌づくりなどの料理教室も年間200回以上のペースで開催されているんですよ。「昔は正月に向けて家庭で糀から味噌をつくるものでした。みんなお味噌づくりがかんたんやってこと、知らないでしょ。参加した人はみんな、自分でつくったお味噌はやっぱり味が違うしおいしいって言うね。笑顔で帰っていってくれるとうれしい」とやさしく教えてくれたのは15代の実さん。JR津久野駅からすぐにある素敵なお店なのでぜひ皆さまもお立ち寄りくださいね。
本店のとなりにはカフェも隣接されていて糀づくしのお料理がいただけます。
あー、もう開店が待ち遠しい。と思っていたら、ちゃっかり試食させていただきました。
味噌って実は素材の味を引き出すんだってことに取材したこの日に気づきました。シンプルにつくられた豚汁は具材たっぷりでまるで雨風さんの背中のようにやさしくて誠実な味です。和食ってそれぞれを引き立て合うからおいしいんですね。
溶かす文化とでも言えるのでしょうか。発酵文化が根づいたこの地域の食がずっと継がれていきますように。雨にも負けず、風にも負けず。
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