2018年3月に開業した当店がいよいよ、2月27日に大きくリニューアルオープンします。
海鮮丼の人気ブース「鮓」に加えて、あらたに「糀」「茶」「蒸」の3つのブースが店内中央のフードコート内に揃い、地元である堺に根ざした食がさらに充実します。
まず本日は「茶」のブースをご紹介いたします。
なんと人気商品としてお取り扱いもさせていただいている、あの「つぼ市製茶本舗」と協業させていただくことになったのです。地元の学校に通っていた私もうれしさがこみ上げてきます。
オープンに際して「つながる市」でもおなじみの写真家の平野愛さんと、堺北花田のスタッフで、高石にある工場と、堺・神明町にある茶寮本館へ取材にも行ってきました。詳しいレポートはまた3月下旬に写真展とともに公開予定ですが、ひと足お先に一部だけお伝えさせていただきますね。
1850年に利休のふるさととして知られる堺にて創業、戦後に高石市へ拠点を移しながらも町衆の喫茶文化が花開いた堺で茶寮も営む製茶問屋「つぼ市製茶本舗」。
今回のブースでは看板商品の「煎茶・特選利休の詩」や「香利休ほうじ茶」、それらを使用した抹茶ラテ、ほうじ茶ラテなどのドリンクを種類豊富に販売します。また、上質なお茶をたっぷり使用した抹茶あんみつや茶団子、そして夏には抹茶ミルク金時のかき氷も提供します。何よりお茶をおいしく味わうために考え抜かれたメニューばかりです。
「お茶」という言葉をつぼ市製茶本舗の皆さんがお使いになるとき、どこか一般の私たちと異なる何かがあるような気がしてなりませんでした。そんな問いを携えて私たちはまず高石にある本社工場をお尋ねしました。
つぼ市では茶鑑定士が直接産地に出向いて目利きし、一番茶を中心に一年の製茶に必要な量を仕入れています。長年に渡り築き上げた全国の産地農家との信頼関係により、作柄や茶園の情報を逐一知ることができ、良質な茶葉を適正な価格で全国の産地から仕入れる努力を怠りません。五感を研ぎ澄まして茶葉を見極める副社長の谷本康一郎さんの真摯な姿がずっと今も心に残っています。現在世界中の人々が直面している課題である「仕事とは何か」ということを考える手掛かりがそこにあるような気がします。
「焙煎(火入れ)・乾燥」は単にお茶を乾燥させるためだけではなく、品質保持と香味を引き出すとても重要な作業で、つぼ市製茶本舗では2名の火入れ師が活躍しています。火入れの温度や時間は、季節や天候、お茶の種類などを見極めながら、最適な温度と時間をその都度調整しています。それにしても皆さんのお顔と立ち姿の凛とした印象に私たちは思わず息を呑みました。
最後の工程は丁寧に包装すること。手際が良いとはまさにこのことで、しんと張りつめた空気の中で集中して分業が進められていました。おだやかな眼差しでハイチーズ。
茶葉の微差を吟味する人、火を入れて仕上げる人、そして丁寧に包んで届ける人たち。
お互いを認め合い、それぞれの役割をまっとうする職場がありました。
営業の社員のみなさんもご近所のパートさんたちも、みな休憩中につぼ市の看板商品「利休の詩」を飲んで一服されるのだそう。この笑顔と細やかさを目の前にして、私たちはやはりお茶のことをもっと知りたいと抑えきれなくなってしまいました。
(茶寮 つぼ市製茶本舗 堺本館/神明町)
お茶をいただくということの中には何があるんだろうと考えながら、次は神明町の茶寮へ。元は仕出し屋だった築350年前と言われる古い建物をリノベーションされたという店内は、継がれてきた時間が感じられるおだやかな空間です。中庭の眺めと、美しい土壁。お茶は人と自然が交わることで生まれた、くらしの中に溶け込んだ文化であることを教えてくれるようでした。
「ラテに使用するお抹茶やほうじ茶は、注文が通ってから一杯ずつ茶筅(ちゃせん)で点てたものを提供します。もちろん熱い煎茶や冷茶も、その場で急須で一杯ずつお淹れします。つくり置きしてしまうと、お茶のおいしさや本来の香りが損なわれてしまうので、かならず目の前のお客さまおひとりのためにお淹れしたいんです」
取材に没頭していた私は誘われるままに中庭の見えるガラス窓の側にあわてて腰をかけて、お茶を一杯いただきました。と、その時です。すーっと口の中に含んだ温もりが喉を通る時、ふいにいつもの気づきの瞬間がやってきました。これは、あの葉っぱをお湯で溶かした汁をいただいているのだと。私たちがいただいているお茶というのは大げさに言えば自然のことなんじゃないかと。頭の中に景色が広がるような感覚です。
こういう時、私は動けなくなってしまいます。私たちに継がれている伝統とは身体の中に自然を吸い込むようにして生きることなんじゃないのかと。そしてこの感覚はとても意識を研ぎ澄ませるものであり、故に自由そのものです。
全ては変わり行くべきものだとしても人間には継ぐべきものがきっとあるのですね。
そういえば、はじめて谷本社長にお目にかかった時に言われた言葉を思い出しました。無印良品の中にもお茶のように継がれているものがあるよ、と。
「そのままのお抹茶って苦くて飲めないという方もいらっしゃると思うんですけど、上質な茶葉を使い、正しい手順で点てたお抹茶は、とってもとっても飲みやすいです。ぜひ、ふわっと広がる甘さや丸みのある優しい苦さ、深くまで届く香りを、味わっていただけたらうれしいです」と話すのはこの茶寮のメニューを育ててきた三宅さん。
つぼ市製茶本舗のお茶は「くらしのお茶」として上質ながらも良価で親しみやすく、食後に飲めばほっと心がやすらぎ、気持ちがすっきり整います。お買いものあとの休憩に、おうちで家族団らん時間に、ぜひ堺のみなさんの生活の中にお茶の素晴らしさが引き継がれていきますように。ブースで提供するメニューは近日中におたよりでお届けしますので、ぜひご期待ください。
ニュースリリースはこちらから