【堺北花田】農芸高校訪問レポート|南大阪カレー研究会

訪問レポート

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2022/03/01

 1月18日、ちらちらとみぞれの舞う寒い日、私たちは大阪府立農芸高校を訪れました。こちらの高校は3つの専門学科、ハイテク農芸科・食品加工科・資源動物科を有する“農”に特色ある教育活動がなされている学校です。約90,000㎡という広大な敷地には温室や牛舎、植物工場、実験室などもあり、命の源を学ぶに充実した環境を伺い知れます。
 
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 「食品加工実習室」に案内され、作業着と長ぐつ姿で出迎えてくれたのは中山先生、食品加工科3年の秋田さん、鮓谷さんです。
 
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 ブロッコリーは野菜売り場でもおなじみの、緑色でもこもことしたドーム状のフォルムの野菜です。茎から枝分かれした先の小さな花のつぼみの部分が主な食用となります。畑で見るブロッコリーは、ひとつのつぼみのまわりに大きな外葉が何枚もついているので、一見するとブロッコリーが植わっているとは分からないかもしれません。食用として使われない外葉がもったいない。ブロッコリーは全部ブロッコリー。そう感じるのはきっと、自分たちで栽培した食材を食用として無駄なく使いたいという気持ちや、命と自然の恵みに感謝する豊かな情操が養われたからなのでしょう。秋田さん、鮓谷さんは、この外葉に注目し、何とか捨てることなく食べられないだろうか・・・と試行錯誤を繰り返し、中山先生の協力も得ながら外葉を使ったカレーをつくるに至ったそうです。
 
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 農芸高校の校訓は「自立・真剣・探求」。まさにブロッコリーの外葉カレーづくりは、それと言えます。授業でもなく、部活動でもなく二人の「外葉がもったいない」という気持ちから生まれたチャレンジ精神豊かな探求心によって誕生した活動です。
 
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 この日私たちは、ブロッコリーの外葉を使ったカレーをつくる工程と、レトルトカレーにする工程を見学しました。まずはブロッコリーの外葉を茹でます。外葉はあおあおとした深い緑色でケールのようですが、生のまま食べてみると、思ったよりも苦くなく、むしろ甘みがあります。繊維が多く舌に残りますが茹でてミキサーにかけると、青汁のよう。
 
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 「茎もしっかり茹でて斜めにスライスしてミキサーにかけるといいよ」と、堺北花田の藤林シェフのアトバイスも加わります。さらに余すことなく食材を使うことができますね。
 
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 他にも実習で使ったいちじくやトマト、農芸味噌や農芸ポークなど自分たちで加工した食材でだんだんカレーができあがっていきます。スパイスが加わると一気に香りが立ってきました。
 
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 レトルトカレーの工程は、一つひとつの袋にカレーを詰めて空気を抜いて封をし、殺菌することでできあがります。パウチや缶詰にする工程を学ぶ授業もあるそうですよ。大切に育てた食材を加工することで長く保存することができるレトルトカレー。人の手による手作業だとこんな工程でできているのですね。
 
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 私たちは利便性や時間短縮などを追い求めるあまり、大切なことを忘れてしまいそうになりますが、この学校では“農”という命や自然の尊さに触れながら、学ぶことや働くことで人と環境を大切にする感性をじっくりと育んでいるようです。二人は小学校からの同級生。お互いをさりげなく思いやることができ、あうんの呼吸で作業をすすめていますが、何度も何度も「ありがとう」とさり気なく言いあう姿が印象的です。互いを尊重しフォローしあい、思いやる気持ちに溢れていて、見ている私たちもあたたかな気持ちになりました。理屈や打算でもなく、こどもでもなく、まだ大人でもない、少しあどけなさの残る表情は初々しいですが、生きていくうえでかけがえのない経験をしている二人の真っすぐな眼差しはやさしくまぶしい。

 作業を終え、作業服から制服に着替えた二人は卒業生。二人が高校1年生の冬に新型コロナウイルス感染症が世界で猛威を振るい出しました。それにより、その後2年間はふつうにあるべき学校行事や授業もふつうでなくなった経験を強いられました。
 
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 ここからは私の個人的な感情ですが、私にも同世代のこどもたちがいます。二人を見ているとわが子の高校卒業式での卒業生の言葉をつい思い出してしまいました。「私たちはあたり前にあるはずの学校行事や引退試合が突然になくなってしまいました。コロナ禍では思い出は最後を思い出すことでしかありませんでした。さみしいけれど、私たちは卒業します。でも前を向いて進んでいきます」。突然に奪われた高校生活の語り。
 
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 きっと二人も同じような経験をしたことでしょう。でも決して奪われただけではなく、困難な状況からも前を向いて進んでいこうとする力や、確かに育まれた豊かな心や生きる力が二人にはあります。春から秋田さんは就職、鮓谷さんは専門学校への進学を予定しています。この先も食材を引き立てるスパイスのように社会に役立つ人になるに違いありません。経験やチャレンジは人生のスパイスですね。
 
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 この日最後に二人が「ブロッコリーの花言葉は“小さな幸せ”なんです」と教えてくれました。二人の人柄がよく伝わってきますが、小さくなんてありません。二人のつながりはしなやかで強い。私たち南大阪カレー研究会も学ぶところがたくさんあり、カレーがつなげてくれたつながりに、また大きな愛や感謝が加わりました。この訪問でカレーが教えてくれたことは、自然、人、関係性に目を向けてみると新しい世界が開けるということかもしれません。

 このつながりをきっかけに、私たちは二人といっしょにカレーをつくることにしました。次回は、いっしょにつくったカレーのレポートをお届けします。どうぞお楽しみに。

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無印良品 イオンモール堺北花田 2022.3.1