【堺北花田】桃シロップのふるさとを訪ねて

【堺北花田】桃シロップのふるさとを訪ねて

イベント・地域情報/地域情報

2024/06/07


  店内キッチンカウンターの近くには、地域の資源や食文化を活かした商品がたくさん並んでいます。
 
【堺北花田】桃シロップのふるさとを訪ねて

 なかでも、発売以来多くのお客様にご好評いただいているシロップシリーズから、和歌山県あら川の桃をつかったシロップが6月7日(金)に『あら川の桃いろいろ使えるシロップ』として、リニューアル。以前よりも桃の風味をぐっと引き立たせ、とろっと濃厚な味わいに仕上げました。
 
 このリニューアルに合わせて、こちらのおたよりでは以前に桃シロップの産地である、和歌山県紀の川市を訪れた様子をお伝えします。
 
 
【堺北花田】桃シロップのふるさとを訪ねて
 
 日本有数の桃の産地であり、西日本最大の産地とも言われている紀の川市。春には畑一帯に桃の花が咲き甘い桃の匂いが香る、その様子は桃源郷とも呼ばれています。
 
 なかでも有名なのが『あら川の桃』。紀の川市桃山町で採れた桃にのみ、この名前が付きます。あら川というのは桃の生産が始まった1782年、当時の安楽川(あらかわ)村という地名に由来しているのだとか。時が経つにつれて桃の生産が盛んになり、安楽川から桃山へと地名が変わったのだそうですよ。
 
【堺北花田】桃シロップのふるさとを訪ねて
 
 私たちは和歌山県紀の川市桃山町にある八旗(はっき)農園を訪れました。
 
【堺北花田】桃シロップのふるさとを訪ねて
 
「農園の名前の由来は、八は末広がり、旗はなんだか勢いがあっていいでしょう?」と畑を案内してくれたのは生産者の高平さん。さっそく桃の収穫にご一緒させていただきました。
 
【堺北花田】桃シロップのふるさとを訪ねて
 
 今回訪れた畑には約60本の木が植わっていて、約2万個の桃がなるのだそうです。これらの収穫は全て手作業。ハサミや機械を使わない理由は、少しでも品質の良いおいしい桃を届けるため。手作業だからとはいえ、収穫する時も気を抜けません。
 
【堺北花田】桃シロップのふるさとを訪ねて
 
 桃の収穫は、実が傷つかないようにやさしく掴んでひねります。この時も、実が枝や幹に当たらないように注意が必要です。
 
 そしてもう一つ重要なのが、ほぞ。ほぞとはりんごや梨にも見受けられる、へたのような部分のこと。これが付いていることも、桃の品質を判断する基準のひとつなのだそうです。

 「この時期は朝でも暑いから、5時ごろから作業を始めます。やっぱり収穫がいちばん大変ですね」と高平さん。収穫は2ヵ月間休む間もなく行われます。いつも収穫が終わったら、今年もお疲れさまと皆で労い合うのだとか。
 
【堺北花田】桃シロップのふるさとを訪ねて
 
 収穫が終わったら、夏の間に伸びてしまった枝を切ったり、肥料を与えたり、次の桃を育てるための準備に入ります。
 
 12月初めから2月下旬までは枝の剪定、3月上旬からは摘蕾(てきらい)をします。摘蕾とは、1つの木に実が付きすぎないよう、蕾を間引くこと。そうすることで木のエネルギーの浪費を防ぎ、より良質な桃をつくることに繫がるのです。

 どれも全く同じように育つわけではないので、剪定や摘蕾も一つひとつ木の状態を見ながら判断します。

 「木の寿命は約20年。老いた木は実のできる数が少なくなってくるので、切って新しい木を植えます。桃栗三年柿八年という言葉がありますが、実際に商品として出せる桃になるには5、6年かかるんですよ」高平さんは桃の木の寿命や病気についても話してくれました。
 
【堺北花田】桃シロップのふるさとを訪ねて
 
 桃の病気として知られているのは、せん孔細菌病(せんこうさいきんびょう)という病気。長野県や福島県など桃の生産が盛んな地域では、防除対策のマニュアルが用意されるほど、桃の生産とは切り離せない問題なのです。
 
 育った桃の実にこの細菌が付くと、表面にかさぶたの様な黒いぶつぶつとした点が現れます。病気になった枝から雨や強風などを通じて細菌がつくのが原因で、防ぐには枝をこまめに切り落とす必要があり、なかなか防ぐのが難しい病気なのだそうです。
 
 今回、取材に同行してくれた商品開発担当は、以前に青森のりんご農家さんから黒星病の話を聞いた事があるそうで、高平さんの話を真剣に聞き入っていました。おいしい桃が私たちのもとに届くまでには、農家さんの努力やこうした苦労がいくつもあるのです。
 
【堺北花田】桃シロップのふるさとを訪ねて
 
 手間ひまかけて大切に育てられた桃は収穫された後、選果(せんか)という工程に入ります。収穫された桃も、農家さんたちの目で選ばれた選りすぐりのものですが、ここからさらに仕分けます。
 
 高平さんにおいしい桃の見分け方を教えてもらいました。「良い桃を見分けるには、ほぞがついているか、実が柔らかすぎないか、形が左右均等かどうか、果点(かてん)があるかなどをよく見ます」
 
【堺北花田】桃シロップのふるさとを訪ねて
 
 果点とは、写真のように実の表面にあらわれる白い点のこと。実が甘い証拠なのだとか。しかし、果点が多すぎるとひび割れの原因になってしまうのだそうです。この見極めも私たち素人では到底判断できません。
 
【堺北花田】桃シロップのふるさとを訪ねて
 
 この黄色いかごに入っているのは、選果をしたのち青果として販売するには難しく、加工品として販売される桃。「まだ食べられそうなのに、どこが違うんだろう」と、つい取材スタッフの声が漏れました。
 
【堺北花田】桃シロップのふるさとを訪ねて
 
 私が今までイメージしていた桃は、お中元などで贈られてくる、ちょっと特別な果物。りんごやみかんと比べて、少し高級品といった印象。もう少し手軽に買えたらいいな。なんて思っていましたが、こうした背景を実際に見ると、普段お店に並んでいる桃がどれだけ貴重なものなのかというのがよくわかりますね。
 
 今の時代は、知りたいことがあれば、スマホひとつで何でも調べることができます。だけど、自分の身で感じて学ぶことってたくさんありますね。「経験ほど価値のある財産はなし」商品開発担当が以前、私に教えてくれたこの言葉の意味がよくわかりました。
 
【堺北花田】桃シロップのふるさとを訪ねて
 
 八旗農園では、収穫された桃の95%はそのまま青果として、残りの5%は近隣の農家さんの規格外品の桃と一緒に、果汁100%ジュースやピューレなどの加工品へと生まれ変わります。
 
 「昔は規格外のものは水路に捨てられることも多かったんです。見た目が少し劣るだけで味がダメなわけではない、おいしく食べられるのに捨てられてしまう桃。これをなんとか活かしたいと思って」と高平さんは語ります。

 5年ほど前から続いている桃の加工品づくり。しかし、全てが順調とはいきませんでした。
ジュースやピューレの加工で桃を絞った際に残る、繊維が多い残りかすの部分。なんと1シーズンで約12トンもの量になるそうです。
  
【堺北花田】桃シロップのふるさとを訪ねて
 
 「肥料や加工品として活用できないかと思っているけど、なかなか難しくてね」とつぶやく高平さんに「どうにか活用したいですよね。どんなことならできるやろ」と一緒に考える開発担当。あれはどうだこれはどうだと続く会話から、二人の熱い想いが伺えました。

 桃の生産や加工品の販売を通じ、『あら川の桃』といえば名前が挙がるほど有名になった八旗農園。その始まりは、意外なものでした。
 
【堺北花田】桃シロップのふるさとを訪ねて
 
 八旗農園を立ち上げたのは、高平さんをはじめとした3人の農家さん。実は3人とも新規就農といって、元々は全く別の仕事をされていました。あら川の桃の伝統産業をたくさんの人に知ってもらいたい、そんな想いから八旗農園が生まれたのだそうです。
 
 桃の生産や加工品の販売だけでなく、自分たちと同じ新規就農者の受け入れなど、後継者の育成もされており、地域の発展にも尽力されています。
 
【堺北花田】桃シロップのふるさとを訪ねて
 
 400年もの歴史をもつ、伝統産業『あら川の桃』、そして紀の川の魅力をたくさんの人に伝えたい。と掲げた旗のもと集まった、八旗農園の皆さんの活動は、これからも続いていきます。

 
【堺北花田】さっぱり爽やかレシピ|いっしょにつくろう
 
Instagramはこちら

無印良品イオンモール堺北花田