【京都山科】服のはなし 着たり、縫ったり、考えたり|MUJI BOOKS
最近本を読みましたか。読書をするとこころが動き、満たされた気持ちでいっぱいになります。本を読むとそこには出会いがあり、いつでも誰かの温度を感じるのです。さあ、好きな本をひらいて、こころに栄養を届けましょう。
おたよりでは、京都山科のMUJI BOOKSから、本が大好きなスタッフがえらんだ1冊を紹介します。
本のあるくらしがこれからも続きますように。
ーーーーーーーーーーーーーーー
『服のはなし 着たり、縫ったり、考えたり』(岩波書店)
著・行司千絵
消費税込 1,980円
こんにちは。BOOKS担当 渡邉です。
この本の帯の”服を買うのにくたびれている、あなたに”の言葉が気になり手に取りました。私にとって服装、洋服とは何だろう。それは頻繁に頭に浮かぶ問いでもあります。
今まで、職場で決まっている制服も数々経験してきたし、リクルートスーツに身を包んだこともある。いつも思うのは「誰かと同じ服装では面白くない」。就職試験に通らなくてもよいからスーツをやめてスカーフを巻いていき、面接でそこを突かれたこともありました。結局、私は「なぜ人と違う服装をしてきたの?」と聞かれた会社に当時就職したわけですが、その面接で、その点を聞いてくれたのが嬉しかったのだと思います。人としてちゃんと関心を持ってくれたような気がしたのです。
既製品もそのまま着たくない時はボタンを変えたり、好きな糸で色を刺したり、気に入った生地でポケットを付けたりして楽しみます。手芸は得意じゃないけれど、自分で手を加えると不思議とその服を長く着ようと思います。
著者の行司さんは新聞記者で、近年は衣服の周辺にある事柄も精力的に取材をし、連載などをされていますが、幼い頃はお母さまやおばあさまが作る服で組み合わせを考えて着るような女の子だったそうです。社会人になり、ブランドものの洋服に身を包み、(一時期的に服装から関心が遠ざかっておられた時期はあったにしろ)毎日同じ服を着ない、ファッションを楽しんできた方です。
洋服をつくることや着ることは、毎日の食事作りや食べることと同じであること、既製品を商品としてしか見ていない私たちに、その生地がどうやって作られたのか、そして洋服を縫ってくれた人たちに思いを巡らす、なんて考えもしなかった自分に、違った視点を与えてくれました。(針と糸さえあれば人間は寒さ・暑さから身を守ることができるなんて、考えたこともなかったです!)
ファッションとしての洋服の選びかた、を教えてくれるのではなく、私たちが”服を着るということ”がどういう行為なのか、流行のためにつくられた大量の洋服がどこへ行くのか、そんな現実を教えてくれます。山極寿一さんや、瀬戸内寂聴さんなど、いろんな方の「わたしの一着」が紹介されているのも面白いです。
洋服から会話の糸口になればいいなと私のように考える人もいれば、着心地のよさで選んだり、あるいは流行に流されず、自分のスタイルを貫いている方もいるでしょう。どの場合でも、自分の一面が外見に表れていることを実感すれば、何かが変わるかもしれません。人間だけに許された”楽しんで装うこと”、どんな格好でも”わたし”の意思を示していきたいなぁ、と思いました。
『服のはなし 着たり、縫ったり、考えたり』は1階にあります。
現在、山科から少し足を伸ばした浄土寺にある「
ホホホ座浄土寺店」さんでは、行司千絵さんの「服のはなし 展示会」が開催中です。(5月31日まで)
これまでお母さまのために作られた服の展示や、特別に作り下ろしの服が販売されています。素材や年齢に縛られず、自由な発想で作られた服を見ていると、とっても楽しくて自分も何か作りたくなってきます。ぜひ、お散歩がてらお出かけくださいね。
京都山科を店舗フォローして、毎日の新鮮なおいしい情報やイベントの最新情報をチェックしてくださいね。右上のフォローボタンがエンジ色になればフォロー完了です。
MUJI BOOKSはこちら
無印良品 京都山科