【京都山科】日本酒は生きている 後編

富翁

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2020/03/15

 京都山科1階Café&Meal MUJでは、3月8日より京都山科限定で日本酒の販売が始まりました。先日、私たちスタッフは今回取り扱う、京都・伏見『株式会社 北川本家』の蔵に見学に行ってきました。

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 さあ、いよいよ醸造です。醸造されたばかりの清酒は、山吹色に輝いていました。これはお酒本来の色だと浪越さんが教えてくれます。
 
富翁

 「流通している日本酒はろ過を繰り返し、色や不純物を取り除いているんです。昔はお酒は透明じゃないと、というイメージがあったんですけど、ろ過するとやっぱりお酒の香りや味が薄まってしまうんですよね。なので、最近はろ過の回数を減らし、日本酒本来の味を楽しめるお酒が増えてきているんですよ」

 搾りたての無濾過生原酒を試飲させてもらいました。
 口に含むと、フルーティーでフレッシュな香りの広がりに驚きます。まろやかな口あたりと甘みのある味わいが、飲み込んだあとも口の中に残っています。舌に感じるこのぴりぴり感はなんでしょう。

 「それは、搾りたてなのでお酒から二酸化炭素が抜けきってない、出来立ての証なんです。搾りたてじゃないと出会えない味ですよ」

 生きたままのお酒を飲んだのは生まれて初めてです。
 
富翁

 「これは本当にここでしか飲めないお酒ですからね。醸造方法ってどういう酒に仕上げたいかで決まるんです。うちでは雑味を出したくないという考えを持っていて、“きれいなお酒”を目指しています。何よりバランスが大事なんです」

 最後に案内してもらったのは、並んで建っている蔵の2階。こちらの蔵は完全木造建築で、昔は物置に使われていたのだそうです。
 
富翁

 今は机や椅子が置かれ、蔵人たちが夜な夜な酒を飲み、鍋を囲む、憩いの場となっていました。浪越さんもよく誘われて、一緒にお酒を飲むのだと嬉しそうに話してくれました。

 「ふらっと入ったお店で、『富翁』のことを知らないお客さんが『富翁』を頼んでくれたり、おいしいと言ってくれることが、やっぱり何より嬉しいですね」
 
富翁

 私はお酒を飲むようになって自分の世界がぶわっと広がりました。
 お酒は心をほぐし、人と人とをつなげて、笑顔にまでさせてくれます。私がやろうとしてもそう簡単にできないことを、いとも簡単にやってのけてしまうんです。あの空間には高揚感に似た、言いようのない満ち足りた空気があります。お酒を飲む人にしかわからない、と言うのはもったいないくらいに。
 そんな場所で、お酒を飲み、料理を食べ、人と話して笑っていると、良い心地に酔ってしまいますよね。摂取したアルコールが体中にまわって酔うのだとすれば、それは私たちの生まれ待つ細胞が呼応しあっているからかもしれません。それに、「酔う」という言葉には「そのことに心を奪われてうっとりする」なんて意味があるんです。素敵だと思いませんか。
 『株式会社 北川本家』の目指す味が『富翁』として形になっていく様子をこの目で見てから、お酒を飲むたびに閃きがあります。見えたようで、見えない、なんだかむず痒いこの感覚が楽しくて仕方ない。
 人間は生かされているんですよね。不思議だけどお酒を飲むと、“生きる”ことがちょっとだけわかる気がするんです。だって、お酒も生きているから。
 お酒も人間のように生きていると知って、世界がまたあたらしくなったような気がします。私たち無印良品は、ものを売るだけでなく、いろんなものの背景にある空気や物語をお伝えしていきます。これからもおたよりにご期待ください。皆さんのくらしが心地よく、より豊かになるきっかけになれたら嬉しいです。


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