【京都山科】日本酒は生きている 前編

富翁

スタッフのおすすめ

2020/03/15

 皆さん、1階Café&Meal MUJIで日本酒の販売が始まったことをご存知ですか?旬の野菜を使ったデリや温かいメインのデリは、ごはんに合うのはもちろんのこと、日本酒とも相性抜群です。知らなかった!という方はぜひ、関連記事をご覧ください。きっと、さっそくCafé&Meal MUJIに行きたくなりますよ。

ーーーーーーーーーー

 皆さんは日本酒と聞いてどんなイメージを浮かべますか?
 日本酒は、日本特有の製法で醸造された酒のこと。私たちの住む京都は日本酒の生産量が全国で2位とされているほどに、日本酒との関係が強い土地でもあるんですよ。
 日本有数の酒どころと言われる、京都・伏見。古来より、「伏水」と記されたように良質の地下水が湧き出る土地です。今日は、この土地で長く酒づくりをしている『株式会社 北川本家』の蔵を見学させていただいた様子をレポートにして、皆さんにお届けします。

 『株式会社 北川本家』は、伏見の濠川のそばで350年以上酒づくりをしてきた老舗蔵元です。初代の鮒屋四郎兵衛は観月橋(かんげつきょう)付近で「鮒屋」という船宿を営み、そこで客に出す酒をつくっていたとされています。そんな『北川本家』を代表する清酒『富翁(とみおう)』は、“心の豊かな人は晩年になって幸せを得る”という意味の中国のことわざ、“富此翁(とみこれおきな)”から名付けられました。

 案内してくれたのは、営業部・副担任の浪越さんです。出迎えてくださった入り口には、なにやら大きな釜のようなものが……。
 
富翁

 「昔はこの甑(こしき)というせいろで米を蒸していたんです。今は機械を使っているので、こうして玄関に飾っています」

 人がすっぽり入ってしまうほどの大きさですね。これで、米を蒸していたなんて想像ができません。

 そもそも日本酒ができるまでの流れを、私たちは知っているようで知りません。快活で、酒づくりへの愛情がにじみ出る、浪越さんに教えていただきました。
 日本酒の原料は米、水、麹です。アルコール発酵とは、糖を酵母が食べることでアルコールを生み出すことをいいますが、米にはもともと糖分がありません。そこで、米に含まれるでんぷんを糖に変える麹を混ぜることで糖化が進み、その糖を酵母が食べ発酵が進みます。そうやって仕込んだものをもろみと言い、もろみを搾ったものが清酒となるのです。日本酒は低温で仕込み、発酵させるために、冬にしか仕込むことができません。

 蔵へ入ると、何年も何年もつくり続けてきたであろう日本酒の香りがふわっと体を包み込んでくれます。
 
富翁
富翁

 麹菌を振りかけ定着させた麹米は、もこっと盛り上がっていてなんだか生きものみたいです。
 
富翁

 普段の麹室は、麹菌を繁殖させるために高温多湿に保たれ、数時間おきに世話をする必要があります。蔵人たちは寝る間も惜しんで麹米の手入れをするのだそうです。
 出来上がった麹米は、白っぽく、栗のような香りがします。口に入れると、ぽそぽそとしていて、舌にやさしく広がる甘みがあります。

 発酵期間に入ってから10日目のもろみを見せてもらいました。
 タンクの口から下をのぞくと、フルーティーで酵母の独特な甘い香りが立ち昇ってきます。
 
富翁

 もろみはぷくぷくと泡を立て息をして、生きてるんだっていうことを感じます。発酵がどういうものかほかの食材を通して学んできたはずなのに、まったく知らないものを見ているようで、その様子にくぎ付けになりました。真っ暗のなかで息をし続けて、ゆっくりゆっくり熟成していくことを想像すると、不思議で仕方ありません。
 
富翁

 「これは、鑑評会用に出品する酒を入れる斗瓶です。うちの蔵人でもいつのものか分からないほど古いんです。年季が入っているでしょう」

 と笑う浪越さん。たしかにどの道具もよく使い込まれています。

 「蔵にある道具は、瓶も、布も、麹箱も、洗浄に洗剤は使いません。洗剤の匂いがついてしまうからです。同じ意味で新品も使いません。道具はすべて使ったら水洗い、壊れたものは修繕して、繰り返し使ってきました。酒づくりは、酒をつくることはもちろん、道具の管理をしっかりすることも大切なんです」
 
富翁
富翁

 この蔵では地下水を引いていて、道具を洗う水も、蛇口から出る水も、トイレの水まで、地下水なのだと教えてくれました。

 さあ、いよいよ後編は醸造です。ぜひお楽しみに。


京都山科を店舗フォローして、毎日の新鮮なおいしい情報やイベントの最新情報をチェックしてくださいね。右上のフォローボタンがエンジ色になればフォロー完了です。
passport
無印良品 京都山科

関連記事