忘れることができない“現在の自分につながる本”
まだ読んでいないけど目がとまる“なぜか気になる本”
2冊を選ぶとしたら、みなさんはどんな本を選びますか。
8月11日(金)・12日(土)・13日(日)、奈良県立図書情報館で「BOOK, TRAIL VOL.3 本を通じてきく、あなたの旅の話」が開催されました。
3人のホストと6人のゲスト、そして参加者たちがそれぞれ2冊の本を選んで集い、「本と人生」について一緒に考える会です。
12日(土)は、無印良品・近畿事業部の松枝さんがゲスト参加しました。ホストはシーベジタブルの友廣さんです。
では1冊目。忘れることができない“現在の自分につながる本”。
『20世紀の良品 新世紀へのメッセージ』(出版:良品計画)
1980年に誕生した無印良品の20周年を記念し出版された本。11回の引越しごとに必ず持って行く本がいくつかあり、この本もそのうちの1冊なのだとか。
モノの誕生とその時代背景の年表からもいろいろ見えてくるし、「二項対立させず両義的に物事を考える」といったあとがきの言葉は、ずっと自分の中に残っているそうです。
トークの合間に、私たち参加者たちも持参した2冊についてゲストと同じように語り合いました。3、4人がグループになり、真ん中にあるのは各々の特別な本。
“現在の自分につながる本”を1冊だけ選ぶのはとても難しいことですが、自分と向き合うきっかけをもたらしてくれ、能動的に読んだ本たちについて語るみなさんは、誇らしげでもあり、少し照れくさそうでもあり。とても生き生きとしていました。
では、松枝さんの2冊目。まだ読んでいないけど目がとまる“なぜか気になる本”。
『東京の生活史』(編集:岸政彦/出版:筑摩書房)
150人の人生の語りが1万字ずつ編集された150万字という膨大なスケールの本。実際は少しずつ読んでいて、まるでジャズを聴くように、ぱっと開いたページを少しずつ読んでいるそうです。
今秋発売予定の『大阪の生活史』も気になるのだとか。大阪の生活史はMUJIBOOKSスタッフも聞き手のひとりとしてプロジェクトに参加しています。この日、会場でも聞き手との偶然の出会いに驚きましたが、東京の生活史の巻末の言葉を思い出しました。
「ひとつの行為は次の行為を生み、ひとつの選択は次の選択に結びついていく。こうしてひとつの、必然としか言いようのない、「人生」というものが連なっていくのだ」(『東京の生活史』より抜粋p.1209)
会の最後、ホストとゲストのクロストークで語られた言葉も印象的でした。
「その人の向こう側にいる人びとにつながって、また新たな出会いを生み出していく」
(左から、西村佳哲さん、松崎太さん、乾聰一郎さん、久保田翠さん、友廣裕一さん、松枝展弘さん)
本にはまだいろんな可能性を秘めているということを、今回のイベントで感じました。本は、指南書でもあり、人と人を結びつけたり、私たち自身を明日にも過去にもつなげてくれるモノでもある。
「本を通じてきく、みんなの旅」は、私たちの暮らしとともに繰り返し続いていくのでしょう。
さて、みなさんの頭にどんな本が浮かびましたか。
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