【野々市明倫通り】世界が変わる?フェアトレードの洋服|ものにまつわるストーリー

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2022/01/07

 “いいストーリーのあると思えるものだけを仕入れる”をモットーに、野々市でオーガニックとフェアトレードの専門店『のっぽくん&コミュティトレードアル』を営む、小浦むつみさん。
日本がバブル期の真っただ中の頃に、途上国の問題に興味を持ちはじめ、フィリピン、インド、ネパールなど、実際に現地に足を運んできた小浦さんに、今日は「フェアトレードの洋服」をテーマにお話をしていただきました。
 
のっぽくん

フェアトレードの洋服と聞くと、なんとなくエスニックなものをイメージされる方も多いかもしれません。
けれど最近は、シンプルでカジュアルなものや、メンズものなど、いろいろな選択肢が増えてきているのはご存知ですか?
 
フェアトレードの洋服づくりに携わっているのは、途上国のさまざまな地域に暮らす女性たちです。
都心部の空港近くのスラムから、最寄りのバス停まで徒歩で8時間もかかるという村まで。フェアトレードの手仕事が行き届くことで、彼女たちの人生に大きな希望が生まれています。
 
セミナー

たとえば写真の女性たち。なんだか楽しそうですが、これはインドのフェアトレード団体が主催する護身術のセミナーの風景。
本当に悲しいことですが、インドでは女性は目を伏せて歩くものだという考えが根強く残っていたり、夜のマーケットは多くの人で賑わっているのに、そこに女性の姿はなかったり……
女性が社会的に弱い立場に置かれ、ストレスのはけ口に犠牲となる事件も非常に多いそうです。
まず全員で大きな声で「NO!」と言う練習から始めていたというこのセミナー。
「1回目でうまくいかなくても、2回目3回目がある。あなたたちはとってもプレシャスな存在。嫌なことにはNOと言っていい」というメッセージが最後に贈られ、女性たちは目をキラキラさせながらうなずいていたそうです。
 
セミナー

また、インドの田舎の方には、フェアトレードに出会うまで仕事とも収入とも無縁で、外に出るのは洗濯場に行くときくらいだった、という女性たちもいます。
小浦さんの「フェアトレードで、どんないいことがありましたか?」という質問に対して、その村の女性は、
「手仕事を身に着けるまでは、4つの壁だけ見て暮らしていた。でも今は外に出て、村の寄り合いでも堂々と発言できるようになった」と答えたそうです。
 
カラティマク

自分の作るものを欲しいと言ってくれる人ができたこと。そのことで彼女たちの人生に、どれほど大きな光が差し込んだのかなと思うと、胸にこみあげてくるものがあります。
 
刺繍下絵

写真の青色の線は、洋服の生地にスタンプされた刺繍の下絵。
伝統の技術にさらに磨きをかけながら、彼女たちは繊細で美しい手刺繍で、世界中の人を虜にしています。
都会に出なくても、資金も立派な設備がなくてもいい。生まれ育った土地で、子どもの世話をしながらできる手仕事があるということは、ささやかなようでいて、実はとても大きな力を持ったことなんだなと思いました。
 

今回、フェアトレードの洋服をテーマにお話をしていただきましたが、実は最初に「フェアトレードかどうかとか、スペックとして売ると抜け落ちるものが多いと思っていて……」というお話をしてくださっていた小浦さん。
たとえば、フェアトレード認証の取得には大量の英語の書類を提出する必要があるそうですが、まだスタートしたばかりの小さな団体にそんな余裕はないそうです。
どんな人たちがどんな想いで作っているのか、そのストーリーを知った上で選ぶことこそ、本当に大切なのだと気づかせてもらえたお話でした。
 
フェアトレード
 

商品の作られた背景を気にし始めることは、お買物を窮屈にすることだと思っている方もいるかもしれません。
でも、むしろ私たちのお買物を、今よりずっと楽しくしてくれるものなのではないでしょうか。
のっぽくんの2階は、使うたび、眺めるたび、心まであたたかくなれるようなアイテムがいっぱい。
手編みのニットなどの冬物がお買い得になっています!
ぜひ覗いてみてくださいね。
 
のっぽくん


『のっぽくん&コミュティトレードアル』



無印良品 野々市明倫通り 

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