こんにちは、無印良品 野々市明倫通りです。
“オーガニック”や“フェアトレード”という言葉、ここ数年で見かけることが増えたなと思いませんか。
「環境や、からだにやさしい」「途上国の支援になる」と、“いいこと”につながるイメージのあるオーガニックやフェアトレードの商品。
だんだんと手に取りやすくなってきているものの、その“いいこと”って、どこか漠然としたものではないでしょうか。
しかしそこには、手を取り合い、知恵を絞り、本当に世の中を変えている人たちのすごいストーリーが、たくさん秘められているそうなんです!
お話を聴かせてくださったのは
『のっぽくん&コミュニティートレードアル』の副社長、小浦むつみさんです。
第1回目に選んでいただいたのは、小浦さんが「このお砂糖のおかげで今がある」と話す、『マスコバド糖』。
“フィリピンの砂糖壺”と呼ばれるほど、サトウキビの単一栽培で有名なネグロス島で生産されている茶色のお砂糖です。
小浦さんがネグロス島の貧困問題を知ったのは学生時代、日本がバブル期の真っただ中の頃だそう。
手に取った書籍には、ネグロス島の人々を襲う数々の悲劇が書かれていました。
しかし、当時の小浦さんには、農業を仕事にしている人たちが食べ物に困るなんて、どうしてなのか、全く想像ができなかったそうです。
その数年後、パイナップルの生産が盛んなフィリピンのとある島を訪れ、現地の方に話を聞く中で、貧富の格差の背景にあるものを知りました。
フィリピンでは、ほんの一握りの地主が土地を独占し、残りの大多数は、ひどい労働条件でも、その地主に雇われるかたちで農業をするしかない状況があったそうです。
自分たちの食べ物を育てることは許されず、ひもじくて、こっそり芋や菜っ葉を植えたのを見つかって暴力を振るわれるなど……
小浦さんがその島で目の当たりにした現実は、想像をはるかに超えるものでした。
昔は高級品だったパイナップルが安く手に入るようになったのは、日本が豊かになったから。そう思ってきたことが、フィリピンの人たちの犠牲があったことを知り、罪悪感でいっぱいになって帰国したそうです。
自分にできることがないか、まだインターネットもなかった時代、必死に調べて辿り着いたのが、ネグロス島で砂糖の交易を通じてフィリピンの人々の自立を支援する『オルター・トレード・ジャパン』の取り組みでした。
フィリピンでは格差の解消に向け、土地を再分配する農地改革の動きが出ていました。
しかし、ほとんどの労働者は、農機具をそろえる資金も、農地を管理する技術もない状態。
地主から独立しても生計を立てられず、ようやく手にした土地を売り、再び小作に戻ってしまうという新たな問題が起きていました。
オルター・トレード・ジャパンでは、1987年から『マスコバド糖』の輸入を通じ、ネグロス島の人々を継続して支援しています。
環境も文化もちがうフィリピンの方からすれば、日本人の感覚はかなり厳しく、最初の頃はクレームも絶えなかったそう。
しかし、日本側からも品質管理などのアドバイスを受けながらクレームをひとつひとつ解決し、今では海外のフェアトレード市場でも認められるほどになりました。
輸出用のサトウキビだけでなく、他の野菜や家畜も育てるなど、自給も広がっています。
オルター・トレード・ジャパンの取り組みに興味を持たれた方は、ぜひ
こちらもご覧ください。
早速マスコバド糖を取り寄せ、徐々に知人の分もあわせて注文するようになった小浦さん。
実は、今の仕事を始めたのは、このお砂糖の誤発注がきっかけだそうです。
大量に届いたマスコバド糖を必死に手売りする中で、「世の中捨てたもんじゃない」と思える出来事に、たくさん出会えたのだとか。
ネグロス島の人々の暮らしだけでなく、日本に暮らす小浦さんの人生をも変えてしまったというお話でした。
なによりこのマスコバド糖、美味しいです。
サトウキビを絞ったジュースを煮詰めて乾燥させるという、昔ながらの製法で作られており、素朴なのにコクのある風味が特長です。
のっぽくんで販売中なので、ぜひ手に取ってみてくださいね。
私たちの日常にも、ちゃんと目を向ければ、豊かな未来につながる選択肢がいっぱい広がっていることを、もっと知ってもらえたらいいなと思います。
次回は、どんなストーリーが聴けるのか楽しみです!
のっぽくん&コミュニティトレードアル
無印良品 野々市明倫通り