青森の風土が育んだ在来えだまめ「毛豆」を全国へ

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諸国良品

2019/09/13

サヤも葉も茎も金茶色の毛に覆われている「毛豆」は、青森県で栽培されている在来の枝豆です。夏に旬を迎えるイメージの強い枝豆ですが、毛豆は晩秋の味覚として親しまれています。大粒の豆でコクがあり、ほっくりとした食感が特長の毛豆の味に惚れ込み、栽培しているのが「ケマラボ」の長内将吾さん。門外不出だった毛豆を全国に知らしめるために、栽培方法の研究に勤しんだり、地元の飲食店と一緒にレシピを開発したりと、様々な取り組みをしています。

市場に流通している枝豆の多くは、流通上の問題や、口に含んだ時の口触りなどの理由からサヤに生える毛をなくすように品種改良されてきました。一方の毛豆は見た目の改良を加えることなく、代々美味しいと思う豆を選抜しながら、昔ながらの良さを保ってきました。

青森県民は「毛深くてこその毛豆、毛こそうまい枝豆の証」と信じ、愛情を込めて「毛豆」と呼んでいます。かつて毛豆を育て、種を採る担当だった各家のお嫁さんたちが家族のためにいかに旨い豆を育てるかを競い合ってきたと言われ、この競い合いによって毛豆の味が向上してきた、とも言われています。

そんな毛豆にハマったという長内さん。調理師の道へ進み地元を離れていましたが、帰郷した際におばあちゃんがお酒のお供に出してくれた毛豆の味に衝撃を受けたそうです。「栗のようにホクホクとした濃厚な味わいです」と長内さん。りんごとお米を生産している実家に戻り、迷わず毛豆の生産をスタートしたといいます。

その後「もっと毛豆に手をかけたい」という想いで2018年に独立し、「ケマラボ」を設立。近所の年配の方々から畑を借りたり、使わなくなった機械を借りたりと、周りの人たちの協力を得て、独自の栽培方法で毛豆を育てています。

豊かな風味を持つ毛豆は、さやから出して料理やスイーツに使ってもOK。豆の粒が大きく、実がしっかりとしているので、彩りよく存在感もあります。ゆでて食べるシンプルな毛豆を味わったあとは、ぜひ料理に使ってみてください。

なお、青森では毛豆を漬け物にして食べる習慣があります。塩だけで漬けられた毛豆は、乳酸発酵して甘酸っぱく漬け上がります。旬の時期にゆでたての毛豆を食べられなかった家族や知人への心づくしのもてなしとしてお正月に振る舞われる、故郷の一品となります。

生産者紹介

  • ケマラボ

    生産者名 ケマラボ 詳細

    津軽平野のほぼ中央に位置する板柳町(いたやなぎまち)で、毛豆を生産する農家。毛豆の潜在能力を最大限に引き出せるように土づくりにこだわり、理想の毛豆に近づけるため、試行錯誤を続けている。毛豆のおいしさを競う「最強毛豆決定戦2016」では、グランプリを受賞。常に毛豆のことを考えており、仲間内では毛豆バカとまで呼ばれている。