こんにちは、無印良品イーアス春日井です。
本日もイーアス春日井 MUJIBOOKSスタッフが毎日お伝えしている
「今日のずっといい言葉」から、素敵な言葉をお届けしようと思います。
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それぞれは、とても受け入れがたいほどに悲しい
けれど、その光景はとてもきれいだった
『二重のまち/交代地のうた』
著者 瀬尾夏美
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本書は、震災から十年という節目に制作された作品。
タイトルに、「二重のまち」と「交代地のうた」の2つが取り上げられています。
かつてのまちの営みを思いながら新しいまちで暮らす2031年の人々の姿が、
画家で作家の瀬尾夏美さんの想像のもと描かれている「二重のまち」。
そして、出来事の体験者から非体験者へ、ちいさな継承をするための「交代地のうた」。
どちらも「出来事を伝え継承していく」というものがテーマになっています。
あの時、まだぼくは幼かったけれど、子供ながらにニュースを見て相当なショックを受けたことを覚えています。
しかし、子供だった自分も大人になりました。
どうしたって全てのものごとは進んでいくし、流れていってしまう。
時間とともにまちは新しくなって、人々も移り変わっていきます。
全てが変わっていく中で、なにをどうやって残していくのか。
それは、過去にとらわれているわけではなく、「これから」の話だと思います。
「夕焼けを浴びて光る一面の雑草 簡素で小さな山車、その奥に壊れた建物」
「それぞれは、とても受け入れがたいほどに悲しい けれど、その光景はとてもきれいだった」
このずっといい言葉は、本文ではこのように紡がれています。
なぜ、変わりゆくものをあんなにもきれいだと思ってしまうのでしょう。
夕焼けも、肌に触れる優しさも、あの瞬間のさらっと鼻に抜ける空気も。
全てが一瞬の出来事で、変わってしまいます。
こんなに美しい瞬間が変わってしまうことを、ぼくは悲しいと思ってしまいます。
だから、きれいなことと悲しいことは結びついている。
幸せな瞬間なはずなのに、悲しくなったり、寂しくなったりしてしまいます。
でも、そのきれいな瞬間は不変ではないけれど、
確かにそこにあったことだけは、いつまでも変わらない事実です。
もうすぐ、3月11日がやってきます。この日を「悲惨な日」で終わらせないために。
「大切な人を想う日」として、祈りを捧げようと思います。
当店で取り扱いのある書籍から MUJIBOOKSスタッフが見つけた、いい言葉を伝えています。
中央広場にて「今日のずっといい言葉」毎日更新しておりますので、ぜひご覧くださいませ。
ではまた次のおたよりで。
無印良品イーアス春日井