美しい日本の言葉で豊かな情感が綴られている幸田文の短編集です。
妻が台所でたてる音を料理人の夫が病床から追う表題作は、料理の音の気配で妻の心の内を察する夫と、それに対する妻の心遣いを小気味よい韻律と歯切れ良い文体で繊細に描きあげています。時に本心をちらつかせ、いたわり合い、理解しようと努めながら築いていく夫婦の信頼関係に「真心」という言葉が思い浮かびました。
空気や気配、雰囲気というのは文章だけでこんなにも豊かに表すことができるものなんですね。音の表現と心情描写も実に細やかに描かれています。作者のこういう繊細さや人の心の波を感じる文体は、父露伴の厳しい躾の賜物なのでしょう。
音は心の様子や若さ、あるいは人間の在り方まで表します。その中に幸田文の独特のリズムがあって、背筋がピンと、心がシャキッとするようでした。次は幸田露伴にもチャレンジしたいなぁ…と思いつつまだ手が出ないです。
著書名:台所のおと
著者 : 幸田 文
出版社 : 講談社
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