【みんなみの里】海を見渡す『岩屋山 波切不動尊』の洞窟で頼朝が見つけたのは名馬太夫黒 | 里山きさっせぇ

キービジュアル画像:海を見渡す『岩屋山 波切不動尊』の洞窟で頼朝が見つけたのは名馬太夫黒 | 里山きさっせぇ

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2019/04/18

 新たに始まった『里山きさっせぇ』というシリーズ、お楽しみいただいてますか。
 この「きさっせぇ」とは、この周辺の方言で「おいでよ」という意味です。
 今回は、房総半島に多く伝わる頼朝伝説のひとつです。
 ぜひ里山へきさっせえ~よ。
 

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 今回は『岩屋山 波切不動尊』についてのお話です。

 鴨川市江見太夫崎を走る国道128号線に「名馬橋(めいばはし)」があります。




 橋の下を流れるのは「名馬川(めいばがわ)」と呼ばれ、この橋からも見ることのできる大きな岩の山から海へと流れています。


 旧道沿いに『岩屋山 波切不動』入口の表示があります。表示に従い畑の中を通る道を歩いていくと、すぐに内房線の線路に出ます。



 ここには踏切がないので十分に注意しながら線路を渡ります。




 まもなく出てきた階段を上ると「霊場 波切不動」という石塔があり、参道を進んでいくと山側にたくさんの観音様が現れ、厳かな気持ちになります。



 そして、境内に入って見たものは、地元のおだやかな港町と、きらきらと輝く春の海でした。




 さらに奥の方へ行くと下り階段があり、その先に、岩をくりぬいて造られた不動堂が見えてきました。



 その不動堂の向かって左脇を太海不動滝(ふとみふどうだき)が流れ、この水が名馬川となって海へと流れていくのです。


 不動堂の向かって右側には、鴨川市石造物百選の倶利伽羅龍王と狛犬があります。
 その狛犬の横にある石段を上っていくと、そこには洞窟があらわれました。



 中腰になって通れるくらいの高さのその洞窟は、ところどころに窓のように岩をくりぬいてあるので真っ暗というわけではなく、歩くのに困ることはありません。
 しかし、枯れ葉などが入り込んでいるため、足を取られないように注意する必要があります。



 十分に注意しながら洞窟内を進んでいくと、やがて明るくなり、外に出ました。そこには滝つぼがあり、上から流れ出てくる水のおかげでたくさんの水をたたえ、春の陽ざしに輝いていました。

 じつは、この洞窟には源頼朝に関する伝説があります。
 石橋山の戦いに敗れて房総半島に逃れてきた頼朝が、この太夫崎に来た時に馬蹄石(ばていせき)を見つけました。この地域には素晴らしい馬がいると思い付近を捜していると、この洞窟の中で一頭の黒い馬を見つけました。頼朝は、滝から流れ出る川で馬を洗い、「太夫黒(たゆうぐろ)」と名づけて愛馬としました。
 これらのことから、太夫黒を洗った川を「名馬川」、その川に架かる橋は「名馬橋」となりました。
 頼朝の愛馬太夫黒は、のちに源義経に与えられたそうです。一ノ谷の戦いで「鵯越(ひよどりごえ)の逆落とし ※」をおこない、戦いに勝利した際に義経が乗っていた馬が太夫黒だったと言われています。




 不動尊からの帰りに、内房線を走る電車に出会いました。春ののどかな海辺を走る様子は、この房総ならではの情景です。
 この不動尊へ行く際は、水辺と洞窟に入るので滑りにくい靴で、また、踏切を渡る際は十分に注意してください。


 ※
 「鵯越(ひよどりごえ)の逆落とし」
 
 源平の戦いの中のひとつ「一ノ谷の戦い」で起こった奇襲。
 寿永2(1183)年7月、安徳天皇を奉じて都落ちした平家は、九州大宰府に逃れましたが、その後起こった源氏の内部抗争に勢いを回復、京に向かうため福原(神戸市)で兵を挙げ、須磨の一ノ谷で源氏を迎え討つことにしました。
 一ノ谷を選んだのは、この谷が峡谷で、南には平家の掌握する瀬戸内海、北には断崖絶壁という攻めにくい場所だからでした。
 後白河法皇から平家討伐と三種の神器の奪還を命じられた源頼朝は、源義経らを二手に分け進路を塞ぎました。
 義経は、草木をかき分け鵯越という断崖の上にたどり着きました。この場所からは平家の動きがよく見えたようです。
 峡谷に陣を張ったことでかえって守りにゆるみの出た平家の様子を見た義経は、寿永3(1184)年2月7日明け方、乗馬したまま70騎ほどを連れ、兎や鹿でも脚をすくませるような断崖を駆け下りて平家の陣に奇襲をかけ、戦いに勝利しました。
 この奇襲は、平家滅亡のきっかけになったとも言われています。
 


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