150人が語り、150人が聞いた大阪の人生『大阪の生活史』。
1月20日(土)は出版を記念して、トークイベントを開催しました。今日はイベントレポートをお届けします。
ゲストは編集を担当した社会学者・岸政彦さんと、聞き手のひとりでもある大阪在住のフリーライター・スズキナオさんです。
16時“カランカラン”と威勢よく夕市を知らせる鐘が店内中に響き渡りました。もちろんイベント会場でもあるCafé&MealMUJIにも。賑やかな音とともにイベントスタートです。
スズキさんは『大阪の生活史』では、お蕎麦屋のご主人に聞き取りを行ったそうです。アポを取りに行こうと思った日が雨だったので、その日はやめてしまったお話や、聞き取りのため何度もお店に足を運び、昼食とは別に何杯も蕎麦を食べたため太ってしまったお話など。聞き取りの裏側もお話されました。
「大阪の人は、ほんまようしゃべるから。語り手だけでなく、聞き手も。だからほぼ全員1万字超えてしまって、製本が丸背になってしまった」。制作の裏側も岸さんは教えてくれました。姉妹版の『東京の生活史』と並べると、確かにフォルムが違いますが、そんなところも何だか大阪らしいと感じられます。
終盤には岸さんの奥さまで、社会学者の齋藤直子さん、通称おさい先生がサプライズで登壇されました。おさい先生も『大阪の生活史』でも聞き手として参加されています。知らない人によく話しかけられるというおさい先生は、大阪らしいエピソードをたくさんお話しくださり、また岸さんとの掛け合いに会場も沸いていました。
『大阪の生活史』は2022年秋ごろに聞き手の募集が始まり、プロジェクトがスタートしました。MUJIBOOKS担当も応募により聞き手として参加することになりました。
はじめての説明会で、岸さんは例えとして「大阪城をつくった歴史上に名前のある人ではなく、大阪城の石垣を積んだ人の話を聞きたい」と仰っていました。その言葉はとても印象的で理解しやすく、どこにでもあるような話で大丈夫なんだと、不安を拭ってくれたのをよく覚えています。聞き取りをしなければ消えていってしまう人びとの人生の語りが綴られた本です。それなのに、あたたかくていとおしい。
岸さんは37年前に大阪に。スズキさんは、東京から大阪へ移り住んだのが10年前。ご自身で「よそから来た」というお二人の話を聞いていると、ずっと大阪にいると気がつかない「大阪」の良さに、この日、改めて気づかされたように思います。
トークイベントは終了しましたが、岸政彦さんとスズキナオさんのサイン本をたくさんつくっていただきました。店内中央OpenMUJIでは『大阪の生活史』フェアも開催中です。ぜひご覧くださいね。
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