【イオンモール堺北花田】とりとめなく庭が|私とこの本

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2019/11/01

 こんにちは、BOOKS1号です。

今週、読んでおすすめする本は『とりとめなく庭が』です。

1篇4ページからなるエッセイ30編を、30点の挿画が彩ります。詩人である著者が選ぶ言葉の一つひとつに想いが溢れています。

『とりとめなく庭が』

出版社:ナナロク社  

著: 三角みづ紀 イラスト:さとうさかな

 母は、豆を煮るのがとても上手です。冬になると、大量の大豆を大きな鍋で、小さなとろ火でくつくつと。

豆とともにいろんな具材が投入され、ふわりと出汁の香りが、家中にひろがります。

「味、薄いかな?」いつも言うお決まりの言葉です。

 著者は、祝日の夕方に黒豆を煮るそうです。それは、食べたくなったからではなく、豆を煮る行為が、気持ちを安定する作用があるからだとか。

 ふと、母も同じかも……と思いました。母も豆を煮ることで、気持ちを安定させているのかもしれません。

高齢になった今も、家業の仕事や教室を開いている母。あの小さな体に、パワーがどこに潜んでいるのかと思うくらい、かいがいしく働いています。

 こんなことを書いていて、実は煮豆が好きでない私……。

でも、母の出汁のきいた煮豆が恋しくなり、食べたくなりました。あと何回食べられるだろう。そう思うと、急に涙がじわりとしてきました。

「煮豆、作って。作り方、教えて」

そう言ってみようと思います。

著者の言葉は、たやすく紡がれてはいません。心の片隅にすっと入ってきて、ありふれていた毎日の視点に、みちみちとした感情をもたらしてくれるでしょう。ぜひお手に取って読んでみてください。

「私とこの本」で紹介の本は、今日のずっといい言葉の黒板の下にあります。

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