【天神大名】てくてくのススメ その10│まち歩き

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2020/08/15

こんにちは 天神大名です。
 
引き続きジョーキュウ醤油さんの文化財のひとつ、1862年に建造された「仕込蔵」の中を見せていただきます。
通常は中の見学は行っていませんが、今回は蔵人の福田さんにガイドをお願いしました。
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高床の作業場に上がると、目の前には大きな木桶と共に香ばしいもろみの匂いがします。
しゅわしゅわと囁くような音の正体は、木桶からの発酵の音です。
この桶、直径1.8mの杉桶で古いものは100年近く経っているものもあるそうです。
1番しぼりの醤油の中に福岡県産の大豆と小麦で作った麹をを仕込み、再度、発酵、熟成。
これが天然酵母の働きにより濃厚な旨味と甘みを生み出す「再仕込み醤油」になります。
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11月から3月の寒い時期に仕込み、夏の時期はもろみの発酵が活発になってきます。
これを(えぶりさお)と呼ばれるもので攪拌し、1年半ほど熟成させるそうです。
福田さんが長いえぶりさおを使い、美しい動作でまぜていかれます。
大体1桶あたり30分ほどかかるようです。
少し実践させて頂くと、もろみの上を棒の平らな部分で落とし込むのですが、ずっしりと
重く苦戦、力はそんなにいらないですよと微笑む福田さん。
長年培われた人と技術、理にかなった道具に日本の心を感じました。
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室内は、温度湿度が蔵の特性で自然に保たれているようで快適です。
よく見ると木桶のもろみの色合いが違い、仕込みの時期が異なるため、熟成度が色の明暗に現れるようです。
松村社長が、最近は海外のシェフの方も天然醸造に注目しており、ジビエ料理の独特の匂いに合うお醤油を探しに、訪れた事もありますよと。
シェフがお味見した、一番濃い色のお醤油を頂きました。
とろっとした見た目にきりりとしたお味、もろみの香りが際立ちます。
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さて次は、熟成された桶から、ポンプでくみ上げ、木の船のような部分で絞られる工程、「圧搾」です。
今回は実際の絞りはみれませんでしたが、福田さんから細かな作業を教えていただきます。
よく見ると3段構造になっており、枠の中に布に包んだもろみを何枚も重ねて絞る仕組み。
1つの木桶に3000ℓ仕込み、実際できる量は2/3となるそうで、半桶絞るのに布150枚ほど使用、1つの桶だと300枚になります。
その後、火入れの作業で味がひきしまり、ようやく完成です。
福田さんの言葉を超える見極めの感覚、自然の力と人の力の調和によりこのお醤油が続いているのだと感じました。  
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店内には、先ほどの再仕込み醤油はじめ、豊富なお醤油がずらり。
嬉しいことに小ぶりなサイズがあるので、きき醤油ギフトにもおすすめです。
店名の上久とは1910年三代目久吉が自分の名前の一部(久)を取り、上等の意味をもじって
上久としたそうです。
上久の文字通り、常に上を目指すには、時代に応じての変化も必要で、フリ-ズドライのお醤油や、時短に役立つおだしや加工調味料、可愛いお醤油金平糖などもありました。
オリジナルのレシピがテイクフリー、こういうちょっとしたご提案は嬉しいですね。
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気になったのは入口付近のTシャツ、社長にお尋ねすると、ここ数年は海外の方や若い方が増え、日本のお醤油はじめ食文化をたくさんの方に興味を持っていただけたらと。
一見関係ないTシャツでも入口にあると、なんだろうと気にしてくれるきっかけになると。
商品やパッケージに使用されている紺色はジョーキュウ醤油さんのコーポレートカラーだそうです。
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そして社長と部長の福島さんが新発売(キャラいも)をオススメしてくださいました。
南九州のさつまいも100%に再仕込み醤油とキャラメルのマリアージュ。
開発の段階で、お醤油のコクとほどよい食感を引き出すのに苦労されたそうです。
添加物を不使用なのも安心です。
袋を開けた瞬間、ふわっとお芋とお醤油の香り。
しっかりとお芋の甘味とお醤油の旨味もあり、ついついとまらなくなります。
かりんとう、プレッツェル、なんだか新しい感覚で今なら冷茶やコーヒーにも合いそうです。
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最後は松村社長が応接室に飾られた、貴重な書を見ながらお話を。
昔、小学生の社会科見学でみえたお子さんが、大人になりお客様として訪ねてきてくださった感慨深いエピソード。
江戸時代から受け継がれてきたモノや手仕事の食文化のこと。
それらの一部になりながら、守り伝え、新たなモノづくりをはじめ、地域と共に何ができるかを考えていきたいと。
優しい口調と強い眼差しがとても印象的でした。
 
165年続く大名のジョーキュウ醤油さん。
是非、気軽にのれんをくぐってみてください。
 
次回のてくてくもお楽しみに。
 

ジョーキュウ醤油
〒810-0041福岡市中央区大名1-12-15
電話 092-741-5360
https://www.jokyu.co.jp/


無印良品 天神大名