半袖が心地いい、良いお天気が続きますね。地下1階の青果売場も夏を思わせる野菜が並び、見ているだけで楽しくなってきます。
「今日は皆さんに、京都伏見にある佐原農園の伏見甘長とうがらしをご紹介します」
「伏見甘長とうがらしは、『伏見』と名の付くように昔から伏見地区でつくられてきた、京の伝統野菜のひとつです。佐原農園ではハウス栽培と露地栽培の両方で、1年を通してとうがらしを出荷していて、京都での生産量の約1/3を占めているんだそうですよ。いまは、太陽をいっぱい浴びた露地物が入荷しています」
はっとするほど鮮やかな緑ですね。すらっと長い姿もきれいです。
「もともと辛みのない品種なんですが、ときどき驚くほど辛いものが混ざったりするんです。それは栽培の環境や時期などによるものらしく、辛いものに出会ったらよく“当たり”なんて言いますよね。それもまたおいしいんですよ」
(撮影:平野愛)
「そういった環境の変化は、野菜の実のかたさや味、曲がり具合にも影響するそうなんです」
気候や栄養に気を配り、365日とうがらしの声に耳を傾けている佐原さん。世話をする、というよりも野菜の気持ちに寄り添っているみたいですね。
そんな愛情をたっぷり注がれたとうがらし、どんな味がするのかとっても気になります。
「やっぱり丸ごと焼いて食べてほしいです。ほかにも、じゃこ炒めや醤油をかけて鰹節をのせたものなど、京都ではこの時期になると、よく食卓で見かけるメニューですよね」
改めてみると、一つひとつ太さや曲がり具合が違っておもしろいですね。濃く色づいたものや先の曲がったものがどんな風に育ったのか、仕組みだけでは説明できない自然の不思議への興味がむくむくと湧いてきます。
火がとおると、緑がよりいっそう鮮やかになり、良い香りが漂ってきます。
かじると、やわらかくなった果肉はとってもジューシー。種を噛むと独特の風味が口の中に広がります。鼻に抜けるさわやかな青っぽさと甘み、ほんのり感じる苦みがたまらないですね。
「これを食べると夏だなあと思いますよね。このほろ苦さがビールにも合って、気づいたら1袋ぺろっと食べてしまいます。出汁が染みてくたっとなった煮びたしも、赤や黄色の野菜とあわせた炒め物も良いですよね」
この一皿があるだけで、食卓も一気に夏模様。
食材を見たり食べたりしたときに、この季節が来たんだなあ、と思えることはこころが豊かであるからだと思うんです。私たちは日々のくらしのなか、気づかないうちに積もる不安やストレスで、そんな豊かさを見失いがちです。だからこそ、今日は野菜の色や香り、食感、を見つめなおす日にしてみませんか。きっと、いままで気づかなかった野菜のおいしさに気づくはずです。
ぜひ、旬の伏見甘長とうがらしを味わってみてくださいね。
以前、私たちは佐原農園へ産地取材に行ってきました。
→産地取材記事は
こちら
京都府産『伏見甘長とうがらし』100gあたり 消費税込 198円(時価)
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