「内なる自分に聞いてください、何が食べたいか。そう思うようになって料理が楽しくなったんですよ」
今回は先日開催した、自炊料理家 山口祐加さんと文筆家 土門蘭さんによるトークイベント『自分のために料理を作る』のレポートをご紹介します。
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山口さんの著書『自分のために料理を作る』は、日々の食事について様々な悩みを抱えている6名の参加者に3か月間自炊コーチングを行い、インタビューという形で参加者の気持ちの変化を聞き出すことで、「セルフケア」としての料理について考えた一冊です。ゲストに迎えた土門さんは、本書にも参加されているんですよ。
「SNSなどで『自分のために料理がつくれない』という悩みを持っている人が多くいるということを知りました。私は料理が好きだったので、なぜそういった悩みがあるのか知りたくて話を聞くうちに、技術ではなくこころの問題だと気づいたんです」
「だからこの本では、自炊を通して自分はどうやって生きていくかということを書きたかった」はつらつとした山口さんのお話からイベントはスタートしました。
元々自分がつくった料理をおいしいと思えないことがコンプレックスだった土門さん。山口さんとの3か月間のセッションで、自分の料理にプライドが持てたと言います。だからこそ、セッションから2年経ったいまでも、自分は今日何が食べたいんだろう、と問うことを大切にしているのだとか。
お二人の料理と家族にまつわるエピソードには共感の温かな笑い声が響き、おいしさは安心感でできている、というお話にはうん、うんと頷く様子がみられました。
トーク中盤は、ブロッコリーの茹で時間の食べ比べもしました。会場のみなさんに好みを聞いてみたところ、1分から2分までたった30秒の違いでも好みは様々。
それぞれがもぐもぐと口を動かし、自分に問い、「塩もかけない素のままのブロッコリーなんて食べることないから」「2分だと甘みが出てきますね」「意外と1分茹でも好きだな」と盛り上がりました。
また、参加者さんからの自炊に対するお悩みアンケートに生回答コーナーも。
「自分って思ってるより未知なんですよ。だから、ケンカしたあとになんであの時怒ったのか、なんで悲しかったのか忘れないでほしい、そうして、自分はこうしたかったという本当の声とのズレをなくしてほしいと思っているんです」
今を生きる、と言われるとつい難しく考えてしまうけど、人参の香りがするなあ、きれいに切れたなあ、今日はほくほくしたものが食べたいなあって感じながら、料理の工程全てを味わってみることが、今を生きるということなのかもしれません。
「自分にやさしくする余りを人に分けるっていうやさしさが本当のセルフケアなんじゃないかな」という山口さんが私たちに投げかけてくれた言葉があります。
「なんかロックな精神でしょ(笑)」と笑う山口さん。その笑顔は「それでいいんだよ!」って背中をたたいてもらったような元気をくれました。
その夜、翌日のお弁当用にブロッコリーを茹でました。レシピ通り茹でるばかりで自分の好みの茹で加減なんて考えたこともなかったなあ。
鍋からブロッコリーをつまんで食べる。どう?って自分に聞いてみると閃くものがありました。
あ!おいしい。
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イベントにご参加いただいたみなさまありがとうございました。無印良品 京都山科のMUJI BOOKSでは、山口さん、土門さんの著書を取り扱い中です。ぜひ手に取ってみてくださいね。
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