【京都山科】旬を余さず、保存食LAB|すこやか研究会

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2022/01/12

 京都・出町柳駅からほど近い静かな住宅街の中、細い道に挟まれた三角地帯に見つけた3階建てのビル。生い茂るレモンの樹とささやかな看板「保存食LAB」。私たちは、生まれ育った京丹後のご実家で、ご両親が丁寧に育てた野菜を使って保存食をつくる増本奈穂さんを訪ねました。
 
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 「保存食LAB」は保存食の実験室兼増本さんご家族がくらす住居でもあります。生成の暖簾をくぐると、鉄骨が剥きだしの空間に置かれた大きなテーブルが目に留まり、単管でできたキッチンで「いらっしゃい」とレモン柄のエプロンを着た増本さんが快活な笑顔で出迎えてくれました。
 
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 大学を卒業後、ケータリングの仕事を経て、保存食をつくる活動をはじめ、お子さんが生まれたのをきっかけに「来てもらう場所をつくりたい」と「保存食LAB」を開かれたのだそう。
 
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 「専業ではないけど昔から野菜をつくっていて、小さなころからたくさん採れて余ってしまった野菜を見てきました。ここを始めたのはそういうものをうまく活用したいと思ったからです。祖母の影響で保存食に興味もありましたから」

 ちょうど京丹後から届いたばかりだと言うダンボールには新鮮な白菜やかぶがぎっしり。鮮やかな緑色の野菜から、増本さんを想うご両親の気持ちまで溢れているようです。「几帳面なお父さんの性格が出てる」と微笑むその表情はとてもやさしくて、箱を通して増本さんの“すこやか”をのぞき見た気がしました。

 「私のつくる保存食は旬の時期を止めるという感じですね。おいしい状態をとどめるためにお塩やお酢の力を借りるんです。そして、劇的においしくなるのではなくて、それぞれのおうちの味に寄り添うような保存食を目指しています」

 この日つくってくださったのは、黄色柚子の皮と生の青唐辛子をつかった柚子胡椒。まるでジェラートのような美しい黄緑となめらかな仕上がりにこのまま食べてしまいたくなるほどです。丸ごと使えるようにと無農薬で育てられた柚子や手作業で丁寧に薄皮を取ったその皮を見ていると、野菜や料理には食べる人を想うつくり手がいて、そこには必ず心がこもっているということを思わずにはいられません。
 
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 「昔ながらの祖母の保存食がルーツにはあるけれど、私はそこに今だからこそのアイデアを加えていくんです。工程をできるだけシンプルにしたり、現代の食に合うような味にしたり。こだわりすぎないことなんですよね」

 「保存食LAB」の保存食は食材の保存のためだけじゃない増本さんの創造が詰まっています。知りたい、つくりたいと感じたわけはここにあったんですね。
 
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 そして、お楽しみのお昼ごはんは鶏で出汁を取った水炊き。昨晩仕込んでおいたという余った野菜でつくるピクルスと塩麹に漬けたお豆腐。先ほどの柚子胡椒に加え、豆板醤、山椒香油など6種類の保存食でいただきます。
 
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 柚子の香りが生きていてフレッシュな青唐辛子の青みが気持ちよく、旬を止める、という意味を感じるさわやかな柚子胡椒。それぞれの素材の味を感じるうま味噌のような豆板醤。どれも香りやうまみのパンチはあるのに主役の邪魔を決してしない、すうっと馴染んでいくんです。温かいお豆腐に少しのせていただくだけで満たされた気持ちでいっぱいになります。
 
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 「最近はなんでも即効性を求めすぎていると感じます。料理もそう。失敗せずに最短距離でゴールできるレシピが溢れていますよね。私は自分で考えてそれで失敗してみたり、そういうのって良いことだと思うんです」

 「台所は革命を起こせますから」と笑う増本さんの飾らないお人柄にはつい引き寄せられる魅力を感じます。「保存食LAB」の店主でもあり3児のお母さんでもある増本さんをプライベートでも知るすこ研メンバーのなべさんも「奈穂さんに出会ったとき、子どもがいながらも自分の仕事をバリバリやっているアクティブなお母さんの姿に衝撃を受けたことを今でも覚えています」と話します。
 伝統に縛られない保存食、いろんな『おかあさん』、自分で考えてつくる料理。すこやかってほんの少しの寄り道なのかもしれません。そういえば「保存食LAB」だって、寄り道しないと見つけられないような場所にありますよね。
 これまでの経験と好奇心、研究心で自分に出来ることを考え、保存食を広めるために活動してきた増本さんを取材し、こうしなくてはいけないと縛られることなく、自由に発想することの豊かさに気づかされました。
 自ら活動を生み出し行動し続ける人たちと出会いたい。すこやか研究会はそんな想いでこれからも活動していきます。
 
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