アトレ恵比寿MUJIBOOKS店内で毎日お伝えしている「今日のずっといい言葉」から、特に印象的だった言葉を週替りでお届けします。
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『響きの科学 名曲の秘密から絶対音感まで』
出版社:早川書房 著:ジョン・パウエル 税込1,034円
今日のずっといい言葉
「平均的な聴き手なら、CDとMP3による再生を聞き分けることはできない」
音楽の視聴環境は目まぐるしく変化しています。
聴き手がどのような視聴環境を経てきたか遡って考えてみましょう。
音楽の視聴環境の変化はテクノロジーの進歩と共にあります。
元々、音楽を視聴する環境は「生演奏を聴きにいく」というものでした。
音楽は限定された場所にしか存在しなかったのです。
それが、録音技術が発明され、音楽がレコードとして保存できるようになったことで、蓄音機があれば好きなときに視聴できるようになりました。
レコードで音楽を収集できるようになったことで、様々な音楽を楽しめるようになりました。
また、そのニーズに応えるかのように、多種多様な音楽が生まれるようになりました。
その後、音楽機器は小型化し、音楽を持ち運べるようになり、いつでもどこでも音楽を視聴できるようになりました。
また、大きな転換点として、「音楽をデジタル化したCD」が生まれたことにより、現在まで続く「音楽をデータで視聴する環境」が始まりました。
デジタル化した音楽は、コンピュータに取り込まれる際、データに変換され、そのデータを「MP3プレーヤー」に入れ持ち運べるようになりました。
MP3というデータ圧縮の技術はとても面白い考え方で、人間が視聴できない周波数(高すぎたり、低すぎたりして聴き取れない音)は排除し、データサイズを軽くするというものでした。
この技術により、ポケットに収まるサイズの端末で、莫大な音楽を所有できるようになりました。
しかし、スマートフォンの登場により、音楽を「所有」する時代から「ストリーミング」の時代へと変化することになります。
それは、音楽を視聴する端末がスマートフォンに一本化されたことが大きいです。
スマートフォンは、音楽データ以外にアプリや動画データや写真データなど様々なデータがあり、それらとデータの容量を奪い合うことになりました。
そこで、その問題を解消したのが、ストリーミングサービスです。
インターネットの回線が4Gの登場により、大容量のデータを高速で通信できるようになりました。
クラウド(インターネット上に存在するデータバンク)上に保存された音楽データを、インターネット通信により視聴できる環境が作られたことで、音楽を所有せずとも視聴できるようになりました。
インターネットでクラウドにアクセスすることで莫大な数の世界中の音楽と出会えるようになりました。
音楽の視聴環境はテクノロジーの進歩により、「限定された場所」から「時間も場所も問わない開かれた場所」へと変化したのです。
しかし、音楽そのものの価値が変わることありません。簡単に視聴できるようになったからと言って、音楽そのものの価値が下がることはないのです。
音楽と向き合う時間はいつの時代も変わらず、鳴らされた音に想いを馳せる特別な時間に変わりはないのです。
アトレ恵比寿 MUJIBOOKS担当 松居淳平
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