香り高き『マスカット・オブ・アレキサンドリア』をつくり続けるために

香り高き『マスカット・オブ・アレキサンドリア』をつくり続けるために

諸国良品

2022/08/12

マスカットいうと最近では「シャインマスカット」を想起される方も多いかもしれませんが、かつては『マスカット・オブ・アレキサンドリア』のことを指すのが一般的でした。香り高く、爽やかな甘さが特徴の芳醇な味わいと、エメラルドグリーンの宝石のような姿から、“ぶどうの女王”“果物の女王”とも呼ばれています。そのほとんどが岡山県で栽培されていますが、生産の難しさから昨今、生産者が少なくなっているのが現状です。そんな香り高き『マスカット・オブ・アレキサンドリア』をつくり続けるために、試行錯誤しながら農薬に頼らない栽培法を追求しているのが、赤磐市にある一滴農園です。

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温暖な気候で災害が少なく、「晴れの国」とも呼ばれる岡山県。実際、2020年までの30年間、降水量1mm未満の日は276.7日と全国第1位(気象庁「全国気候表」)と、データでも晴れの日が多いことを証明しています。そんな晴れが多く、雨の少ない気候が、高温で乾燥気候のエジプト原産のマスカット・オブ・アレキサンドリアの生産には適しています。いち早く「ガラス温室」での栽培法を成功させ、その後も努力と研鑽を積み重ねて、マスカットの産地として確固たる地位を築いていきました。

「マスカット・オブ・アレキサンドリアのあの香り高さは、できるだけ自然のままに栽培しないと出せないんです。人の都合に合わせるんじゃなく、ぶどうのタイミングに合わせての栽培法。ゆえに、その生産の難しさから辞めていく人も多いんです。ただ、僕はこれこそが美味しいぶどうだと思ってるので」そう話すのは、赤磐市のぶどう専業農家、一滴農園の岸本和也さんです。

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かつては様々な職を転々とし、有機野菜の生産にも携わっていた岸本さんでしたが、ある時、赤磐市にある実家が経営する小さなスーパーを手伝っていたときのこと。訪ねてきた地元の農家のおばちゃんから、もうぶどう栽培を続けられないという相談を受け、一念発起してぶどう農家への転身を果たしたといいます。それからというもの、ぶどう栽培にのめり込んでいったという岸本さん。「元々、ものづくりが好きだったんです。そういう意味で、手を掛けた分だけ応えてくれるぶどう栽培は、僕の性に合っていたんだと思います」

そんな岸本さんは、ぶどう栽培においても農薬に頼らない栽培法を模索し続けています。先述の通りマスカット・オブ・アレキサンドリアは、種無し処理などしてしまうとその香りが失われてしまうため、できるだけ自然のままの栽培法で。他にも完全農薬不使用でのぶどう栽培にも挑戦し続けています。何故そこまでこだわるのか聞くと、こんな答えが返ってきました。「僕は田舎育ちなので、自然に育ててもらったんです。そんな自然に対して恩返しをしたい、できるだけ負荷をかけたくないという想いからなんです」実際、一滴農園のぶどう畑では、様々な生き物が活動をしている姿を目にできます。

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とは言え、乾燥地帯生まれのブドウを雨の多い日本で育てるには、特定の病気や虫が大発生することも避けられません。ブドウが健康に実り、食べる人を笑顔に出来る必要最低限の農薬使用を模索し続けています。そんな真摯な姿勢でつくる一滴農園さんのぶどうは、香り高い「マスカット・オブ・アレキサンドリア」をはじめ、岡山生まれの「瀬戸ジャイアンツ」、そして人気の「シャインマスカット」まで様々。ぶどう本来の香りと味をお楽しみください。

生産者紹介

  • 一滴農園

    生産者名 一滴農園 詳細

    岡山県赤磐市で、必要最低限の農薬使用でぶどうを栽培する農家。
    いのちを大切に想うことを信念に、人にも生き物にも環境にも優しい農業を模索し続ける。できるだけ自然のままに育てる「マスカット・オブ・アレキサンドリア」は香り高さに定評がある。

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