【堺北花田】ずっと循環|山陽製紙 工場見学レポート

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MUJI BOOKS

2025/05/13

 先日、大阪泉南市にある、再生紙づくりのスペシャリスト「山陽製紙」さんの工場見学に行ってきました。

 なぜ山陽製紙さんへ?
それは、MUJIBOOKSで取り扱いのあるバリューブックスの『本だったノート』『本とダンボールだったノート』に強いつながりがあるからです。
これらのノートは、古紙回収に回るはずだった本から生まれました。

 バリューブックスには、毎日約2万冊の本が届きますが、実際に値が付くのはその半分。あとの半分の本は、リサイクルとして古紙回収へと回されます。バリューブックスの倉庫を訪問した時に知ったのは、古紙回収に回された本の95%は、また紙へと生まれ変わっているのだということ。また再生の過程で出る不純物は焼却され、セメントの材料として。金属などは鉄鋼の材料として。本というかたちではなくとも、姿を変えて再利用されているということ。

 しかし、バリューブックスでは「もっと”本だった”記憶が残るよう、新たな価値をかたちにしたい」という想いから、「本だったノート」がつくられました。

 この「本だったノート」の紙を製紙しているのが、再生紙づくりのスペシャリスト山陽製紙さんなのです。

 では、工場見学の様子をお伝えします。

 まず、山陽製紙さんのものづくりの内容や理念などをお話しいただきました。「資源」「環境」「循環」といった言葉が多く語られたのが印象的でした。

 工場の近くには水源の男里川(おのさとがわ)が流れています。「どうしたら自然と共生できるか」ということを常に考え、地域の皆さんと”男里川の自然を守る会”といった活動など、地球環境負荷低減活動に積極的に取り組まれているそうです。
 
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 また、強みでもある「クレープ紙製品」やアップサイクルから生まれた「crep」を実際に見たり触ったりしながら、今度は工場へと移動します。
 
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 古紙回収の束です。一束、約600kg~1t。山陽製紙さんでつくられる紙の主原料となるダンボールやクラフト紙といった古紙です。
 
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 大きなタンク。紙をつくるには多くの水を必要とします。1kgの紙をつくるのに約100倍の水が必要。工場全体で1日約2000tもの水が使われています。これは50mプールの水の量なのだとか。

 この中には沈殿槽があり、工場で使った水の中の汚れを沈殿させ、再生分は再び工場水でつかいます。上澄みの一番きれいな水は排水しているそうです。
 
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 昔は色のついた紙を製造すると、色のついた水を排水せざるを得なかったのだとか。「少しでもきれいな水にして還したい」という想いから、活性炭ろ過方式の排水処理設備を導入し、念願だったきれいな水を排水できるようになりました。この日も男里川につづく排水路には、透明のきれいな水が排水されていました。
 
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 他にも施設の中のたくさんの設備を見て回りました。
 
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 できあがった紙です。だいたい3000mの長さがあります。厚みによって12000mのものも。手のひらで側面をたたいてみるとそれぞれ音も違っていました。クレープ紙のしわの細かさによって、詰まり具合が違うので、詰まっているのはたたいてみると、高い音がしました。
 
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 工場内を見ていると、裁断された切れ端など製品化されなかった紙は、溶かしてまた原料となっていることに気がつきました。捨てるところがない。紙が「ずっと循環している」ということです。
 
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 中には工業用クレープ紙のように、裏面にポリエチレンラミネート加工が施された紙は、再び溶かせない紙もあります。
 
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 この日、雨が降っていたので、表面には雨のつぶ。水がはじいているのがよくわかります。

 どうにか活用できないかと考え、「表面が水に強い」ことを活かし、紙製レジャーシートといった「crep」というアップサイクルブランドも誕生しました。
 
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 最後に、紙すき体験も行いました。紙を溶かしたとろっとした水の中に木枠を沈めすくいます。水分をスポンジで十分に取ってからアイロンで乾かします。すくう量によって、厚みが違っていたり、羽ができていたり、少々のムラもそれぞれの味わいです。自分でつくった紙に愛着が湧きます。

 私たちは毎日、多くの地球資源を必要としながら暮らしています。「ごみを分別する」「節水する」「節電する」など、今日は一つでも環境にやさしい行動ができたかな……。そういう気持ちが、日常の暮らしの中に自然と溶け込んでいきますように。
 
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 無印良品イオンモール堺北花田では「つながる絵本」という取り組みを行っています。読み終えた本をただ捨てるのではなく、回収することで本を循環させて、地域の子どもたちに絵本をプレゼントする取り組みです。
店内に回収ポストを設置して、これまで1,400冊もの本を回収し、バリューブックスに渡り査定されました。
回収された本は、次の買い手へと回ったり、”本だった記憶”が残るノートとなったり、かたちは様々に、本が循環しています。
今後も、みなさんの読んだ一つひとつの本が大きなつながりとなって、子どもたちの未来の希望につながることを願っています。
 
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