『わたしとキッチン』。無印良品で働く「わたし」が、お気に入りのキッチン道具を紹介したり、ときにはだれかのキッチンを見に行ったりする全10回の連載です。はやいもので、もう9回目。過去の記事はこちらからどうぞ。
毎日立つキッチンにはその人のものの使い方だけでなく、性格や考え、人柄までもが息づきます。そこから見えるのは、食べることや生きること、もしかしたらくらしの細部まで。
毎日当たり前に使っているキッチンを、わたしと一緒に見つめなおしてみませんか。
■おばあちゃんのキッチン
前回のわたしとキッチンvol.8の次回予告で「vol.9ではわたしの大好きなあの人のキッチンを見に行きます」とお知らせしたとおり、今回訪れたのはわたしの大好きなおばあちゃんのキッチン。毎朝の朝歩きとダンベル体操を欠かさない、元気な74歳です!
「今日はあなたが来るから、朝から煮干しと昆布を水に漬けといたんよ。お味噌汁にするわね」
わたしが尊敬するおばあちゃんは、料理がとても上手。それからおいしいもので人を喜ばせるのも上手。たくさん料理をつくっては、家族や近所のお友達に持っていったりしています。
「ついついたくさんつくってしまうんよ。煮物とかしたら3、4日は同じもの食べなあかん」と笑うおばあちゃん。
この日もわたしとおばあちゃんの二人分とは到底思えない量のサラダやおかずが仕込まれていました。「余ったらタッパーに入れて持って帰り」と、帰り道の荷物が大変なことになるのもいつものこと。
この日のメインはカレイの塩こうじ焼き。塩こうじに漬けたあと小麦粉をまぶして焼いたカレイは、しっとり、ふっくら。「誰かと食べたらたくさん食べちゃうわ」と、お腹をさするおばあちゃんに同感です。
ごちそうさまでした、と手を合わせるとかならず、おばあちゃんが「よろしゅうおあがり」と言ってくれます。わたしは小さいときからその言葉がとても好き。
「おばあちゃん、あんまりレシピ見ないし材料も量らないんよ。ずぼらやからね。どのくらい? って聞かれたら、いつも“適当に”って言うんよ」。なるほどわたしのこのずぼらさは、おばあちゃんの血を引いていますね。
いつものごはんをつくるときはレシピを見ないけれど、テレビで見たレシピや人に教わった料理のコツはメモに書いて保存しているおばあちゃん。栗の渋皮煮や黒豆の煮物、きゅうりの漬物、まさに秘伝の書。手書きがなんとも味わい深いなあ。
そんなおばあちゃんのキッチンには、だれがこんなに食べるんだろうと思ってしまうほど大量のいろんなお漬物が。梅干し、梅シロップ、らっきょう、しょうが。この量でもいつのまにかなくなって毎年つくっているのだから驚きです。
季節のおいしさを追いかけることをとても良いなとわたしが思うのは、きっとおばあちゃんの影響なんだなと気づきました。
今日はおばあちゃんにささやかなプレゼント。わたしのキッチンでも大活躍の、袋止めクリップです。
「わあ、大きくていいわ。お米の袋止めにちょうどいい!」と喜んでくれた様子。大・小のサイズがあって長持ち、なにより見た目がシンプルなのでお気に入りです。
「どんなときも、しっかりごはんを食べてね。身の回りのことに感謝して、ごはんさえちゃんと食べてたら、なにがあっても大丈夫」
「ごはんをしっかり食べてね」。これがおばあちゃんの口ぐせです。
忙しくて家事がおろそかになってしまっても、かんたんでも手抜きでもいいからごはんだけはちゃんと食べること。
頭や心がぐちゃぐちゃなとき、キッチンに立って包丁をトントン動かしていると不思議とゆったりした気持ちになれることがあります。だしのきいたお味噌汁を飲むと心がほっとほどけるのがわかります。
自分のための、大切な人のためのおいしいごはんはキッチンから生まれます。そんな当たり前のことに気づいたとき、もう一度、わたしはわたしのキッチンを大切にしようと思えました。
次回で最終回を迎える『わたしとキッチン』。最後はやっぱりわたしのキッチンで、とっておきの商品をご紹介します。最後までお付き合いいただけるとうれしいです!
『ポリプロピレン袋止めクリップ・大 5個入り』 消費税込150円
『ポリプロピレン袋止めクリップ・小 5個入り』消費税込120円
わたしとキッチン アーカイブ
vol.1「コンロそうじ」
vol.2「時短フレンチトースト」
vol.3「うちの食器棚」
vol.4「おばんざい屋さんのキッチン」
vol.5「ステンレスの道具たち」
vol.6「あおちゃんの、キッチンのコツ」
vol.7「秋の彼岸のおはぎづくり」
vol.8「シンク下のあれやこれ」
無印良品 イオンモール堺北花田