こんにちは、BOOKS1号です。
今週、読んでおすすめする本は『図書室』です。
著者は、社会学者・大学教授。
断片的だった思い出がしだいに色鮮やかに描き出され、情景が絵巻物のごとく流れていく本。切なさをかもし出す文は、心にすっと入ってきます。
『 図書室』
出版社: 新潮社 著: 岸 政彦

「ノストラダムスの大予言当たると思う?」「そんなん当たったら困るやん」「人類滅亡すんねんで」「怖いなぁ。でも8月になったらもう大丈夫ってこと?」
これは、私と同期のとりとめもない会話です。1999年7の月、空から恐怖の大王が降りてくるというノストラダムスの大予言とやらで世間が震えていました。
多数いた同期の中でも仲が良い一人で、この本の主人公と男の子のような。この本を読んで何年かぶりにSのことを思い出しました。嬉しかったとき、楽しかったとき。仕事で失敗したとき、落ち込んだとき。いつも右斜め後ろの席から「良かったやん!」「つぎあるって!」と言ってくれたS。いつも私の様子を気にしてくれ、いつの間にか兄のように頼るようになっていました。
その後、同じころお互いに別々の家庭を築きました。一度、夫の携帯に電話があり「結婚おめでとうございます」と、それっきり。今はきっと幸せに暮らしていることでしょう。
同期とか同級生っていくつになっても、いいなって私は思います。それだけでなぜか安心するような。先日も同僚のIさんが同じ年と知って、二人で喜んだところです。昭和から平成になったとき。オリンピックでカール・ルイスを見たとき。同じ時代を同じ年齢の感受性で生きてきたからでしょうか。この本を読んだら、懐かしい同級生や、同期を思い出すかもしれませんよ。
あのころには二度と戻れないけど、何気ない日常が大切な思い出となっていたことに気づかされる「この本」。
ぜひお手にとって読んでみてください。
「私とこの本」で紹介の本は、今日のずっといい言葉の黒板の下にあります。
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