【堺北花田】LIFE IS BEAUTIFUL ともに過ごす、ともに想う｜ランドセル工房生田ランドセル展示

2022/10/06

　くらしの中に溶け込んでいる長く受け継がれてきたものや習慣。

新しくものが生み出されては消えていく、そのスピードもどんどん速くなりさらに加速しています。世の中に溢れているものから何を感じ取り、選んでいくのかを今問われているのではないかと思わされます。

　「ランドセル工房生田」は大阪市生野区田島で、インスタントな時代に逆らうように長く使う人のことを想いながら、ものづくりを続けています。1950年の創業当時は同業の工房が多く軒を連ねていましたが、今この地域には片手で数えられる程度残っているだけです。

ものをつくり続けること、手を離れたその先も見守り続けるとはどういうことなんだろう。

生田の長井さんのご案内で私たちは工房を訪ねました。工房の扉を開けると職人のみなさんが作業中にも関わらず温かく迎えてくださいました。隅々までよく掃除され、道具も整頓され大切に使われていることがわかります。

暖かくまあるい空気の中にも、しんと張りつめた空気が顔を出し、ものをつくることに真剣に取り組まれている姿とものづくりに向き合う為の環境が整えられているように感じました。

　　
丈夫で美しい生田の本革ランドセルは、革の選定から裁断、糊付け、ミシン掛けと300にも上る多くの工程を経て、一つひとつ丁寧に職人がつくり上げています。

まずは革を裁断することから始まります。

素材自体を得るために牛や馬の生命を奪うことはなく、食用としていただいた生命を最後まで無駄にしないために革を加工しランドセルはつくられます。牛革もコードバン(馬革)も天然の素材で1枚として同じものはなく、熟練の職人が目や手、身体の感覚を使い革と対話しながら血筋や傷が無いか入念な審査を経てランドセルの各部に適した箇所を決め、古くからの生田の宝物である裁断機で型通り正確に切り落とします。

革の厚みを調整する「漉き工程」、ミシン縫いや手縫いによる「縫製」など、沢山の工程を経て完成に向かいます。

ベースの革、肩ベルト、フチ、紐、ステッチ、内装の色や鋲の金具まで、私の「すき」を形にできるセレクトオーダーも行っています。オーダーによって仕様が少しずつ違う為、ひと工程毎に慎重に確認しながら仕上がっていくランドセル。おのずと稼働率は低くなりますが、出来上がったランドセルが手元に届いたときの子ども達の笑顔を想像しながらひと針ひと針形づくられていきます。

本来ランドセルは分業制でつくられますが、ランドセル工房生田は全ての工程を自社で行っています。一番の理由は品質が安定する為。部品の形状を少し変えるだけで金型も必要になり、調整無く仕上げると一見何も変わらないように見えても、どこかに歪みが出てしまい長く使うために最適な状態では無くなります。つくり手の緻密な連携によって生田のランドセルは生み出されています。

出来上がったランドセルは入念な製品チェックを経てご注文いただいたご家庭に向けて旅立つ準備に入ります。小学校卒業まで無償修理のケアも用意しています。ランドセルを長く大切に使ってもらいたい想いも一緒に届けます。

　「古くなったら新しく買う」のではなく「古くなっても直しながら長く使い続けていく」ものを大切にする気持ちを育み、寄り添い、成長と共に刻まれる傷や汚れも思い出となるように。「本当に良いものを最後まで使い続けて欲しい」というのが、ランドセル工房生田さんの願いです。
　　
長く使い続けていた記憶は、古くなって廃れたり、儚く悲しいことではなく、使う人にも、見守っていた人達にも、懸命につくった人にもやがて良い思い出になる。

美しさ。ひとがひとを想う気持ちは時を重ねて美しさを増していくことなんだと、ものづくりを通して気づかされました。

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「LIFE IS BEAUTIFULともに過ごす、ともに想う
　ランドセル工房生田のランドセル展示」

10／18（火）まで　場所：OpenMUJI

ランドセル工房生田のランドセルと無印良品イオンモール堺北花田のつながる市取材班の写真家、平野愛さんの撮り下ろしの写真と共に展示中です。

ご来店の際はぜひお立ち寄りください。