みなさん、こんにちは。
前回私は
和賀江島の陶器片について記事にしました。
今回は偶然陶器つながりになりましたが、「金継ぎ(きんつぎ)」のお話です。
金継ぎとは、欠けたり割れたり、ひびが入ってしまった陶磁器を漆と金属の粉(金・銀・錫・真鍮など)で直す、古くから行われてきた修復技法です。
個人的に金継ぎと聞くと、先祖代々伝わってきた家宝の壺や、高価な骨董品に使われているような、ちょっと敷居が高くて日常生活とはかけ離れたイメージがありました。
我が家には家宝はありませんが、旅先で一目惚れして買ったお皿や、安くても使い勝手が良くて毎日活躍しているお気に入りの食器があります。
自分にとって大事な器が欠けてしまったときの悲しい気持ちはなんとも言えません。
横着するのではなかったとか、時間を戻せればいいのにとか、しばらく悶々としてしまいます。
しかし、自分で金継ぎができるようになれば、その器を繕える。
「欠けたから捨てる」のではなく、「自分で直してまた使う」という選択肢が増える。
これはとても魅力的なことです。
そんな金継ぎのワークショップが、去る11月5日・6日の二日間、当店の一角で行われました。
この機会を逃す手はありません。
他にもぜひやってみたいというスタッフと共に参加してきました。
教えてくださったのは、陶芸作家の小川文子さんです。
滋賀県で陶磁のアクセサリー制作を中心に活躍されています。
先生が持っているこの箱には金継ぎをするための道具一式が入っています。
こちらは参加費に含まれていて、持って帰って自宅でも金継ぎをすることができる、お裁縫箱のような考えぬかれたコンパクトな金継ぎキットです。
配られた金継ぎキットから必要なものを出して並べて、いざ始めます。
今回は小さな欠けのある器をそれぞれ持参して、それを修繕するという内容でした。
私が持って行ったのは、お土産でもらったトルコのボウルです。
縁が欠けてしまって気になっていました。
最初は先生の作業を見学。
エポキシ樹脂の接着剤に砥石の粉「との粉」を混ぜてパテ状にし、欠けた部分に盛り付けていきます。
パテが硬化してきたら、紙やすりとナイフで形を整えます。
そのパテ部分を覆うように漆を薄く塗り、金(今回は真鍮粉)を優しく乗せるように定着させていきます。
先生のお手本を見た後は、いよいよ実践です。
みんな会話するのも忘れ、ひたすら集中。
特に漆は肌に触れるとかぶれることもあるため、慎重に。
毎日バタバタと慌ただしく時間が過ぎていきますが、この小さな「欠け」に真剣に対峙している時間は心地よく、とても集中したせいか、仕上げ終わった後はなんだかすっきりとした気持ちになりました。
仕上げた後は、各自自宅で湿らせた段ボールなどで簡易的な「ムロ」を作り、その中に器を入れておきます。
漆は湿気のある場所で乾くという性質があるため、この「ムロ」に入れて一日ほど漆を乾かしてから完成です。
こうしてぎゅっと濃縮された2時間のワークショップはあっという間に終わりました。
みんなで作品を見せ合い、褒め合い、感激もひとしおです。
完成したスタッフの作品です。
それぞれの器に金色のワンポイントが入りました。
落ち着きのある厳かな金色
カラフルな器をさらに華やかにする金色
丸みのある優しい暖かみを添える金色
曲線の器をきりりと引き締める緊張感のある金色
それぞれの器と調和して、様々な表情を見せる不思議な金色です。
このワークショップで教わって実際やってみたことを忘れないうちにと、自宅でもう一度金継ぎをしてみました。
まだまだ不恰好な出来栄えですが、いざとなったら自分で直せるというのはなんて心強いのでしょう。
しかも繕ったことによって出会える新しい味わいもあり、ますます大事に使っていこうと思えます。
「大事なものを繕って長く使う」
物があふれている恵まれた時代に生まれた私たちですが、この感覚を大切にしなくてはいけないと改めて感じました。
でも、まずは、お皿をあまり割らないように気をつけたいと思います。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
※使用した画像の一部は小川先生に提供していただきました。ありがとうございました。
本日のおたより カルベ
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