【天神大名】MUJIstandard lover file.2少年はパーカーの夢をみる│その他

パーカーを見ると思い出すエピソードがある。
ある時、お母様と小学生くらいの男の子がパーカーをさがしに来られた。
無印良品には150㎝までのキッズもあるが、お子さんにはサイズが合わないようだった。男の子の骨格は華奢だが、手足は羨ましいくらい長い。
この年頃の男の子は、小柄な大人の女性にも似ている為、婦人のパーカーを試して頂いた。
女物？と男の子は不機嫌そうに袖を通すが、すぐに裏毛の柔らかさに顔がほころんだ。
当初は、近隣のショップのものがお目当てだったようだが、サイズと予算が見合わず、無印良品になら？とひらめいた流れ。
それを聞き、試しにサイズアップして頂くとリラックスなラインに変わった。
大きさに不安げなお母様と、これくらいがいいと嬉しそうな男の子。
たぶん欲しかったのは、ストリートな雰囲気なものに違いない。
小さな頭がフードの立ち上がりでバランスも良く、カンガルーポケットはサイド寄りでフラットに見え、手の収まりが良い。
鏡の前のプレゼンにウキウキしてうなずいてくれている。
それ、ママも着れるね？とお母様が問いかける。
男の子は被ったフードの紐をぎゅっと絞り、丸い隙間から顔をのぞかせ僕のパーカーだもん！とおどけてみせる。
その様子に恥ずかしそうなお母様と、思わず笑ってしまった私。

いつしか大人になり好きな服を選ぶ時が来る。
けれども親子で歩き、みつけたこんな日の記憶。
それはきっとパーカーの手触りのように優しく、温かいものな気がする。
  今日のスタンダード　ムラ糸裏毛ジップパーカー


無印良品　天神大名