【京都山科】梅干しの話|食べものの話をしよう

【京都山科】梅干しの話|食べものの話をしよう

食のお便り/入荷情報

2020/05/29

 私たちが生きるこの世界には、さまざまな食文化があります。先人たちによって今日まで絶えることなく継がれてきたおいしさの中には、食という営みそれ自体のおもしろさや、もしかしたらより良く生きるためのヒントが隠されているのかもしれません。ふだん当たり前だと思って口にしている食材や素材をもういちど見つめてみると、あたらしい発見や学びが必ずあります。
  地下1階の食品売場を歩きながら、私たちと一緒に、食べることについて考えてみませんか。

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<酸っぱいから元気が出る>

 6月に入れば、八百屋やスーパーで鼻をくすぐる甘酸っぱい香りの梅。完熟してところどころ赤くなった実は、遊びまわって頬を上気させた子どものよう。
 毎年、梅干し漬けを初夏の楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。

 私にとっての梅干しはお母さんつくるのしょっぱい梅干しです。離れてくらす母から、毎年送られてくる梅干しを少しずつ食べるんです。
 
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 梅干しとは、梅の果実を塩漬けし天日に干した保存食。起源は平安時代とされており、いまでもつくり継がれている日本の伝統食品です。

 6月上旬、梅干しづくりは完熟した梅の丁寧な下処理からはじまります。その後塩漬けして、梅雨が明けるのをじいっと待ちます。
 
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 そして、梅雨が明けたら、3日間ほど晴天が続きそうな日を狙って天日干しします。
 
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 出来立ても酸味が強くて良いですが、清潔な容器に入れて1ヶ月以上ねかせるのがおすすめです。
 手塩にかけてつくった梅干しは、愛着が湧いて減っていく容器をみるのがさみしくなる、なんて話も聞きました。

 梅干しと言えば、思い浮かべるだけで口の中に唾液がたまる酸っぱさですよね。この酸味の正体はクエン酸やリンゴ酸などの有機酸。有機酸には、疲労回復、防腐作用、食中毒の原因となる菌に対する効果も期待されており、そのため、昔は傷の消毒や薬としても重宝していたそうですよ。そして、酸は唾液の分泌を促して、食欲を増進させる働きがあるとされているので、これからの季節、夏バテ対策にはもってこいですね。


 今だからこそ梅干しについて考えてみようと、地下1階で販売している『大谷屋』の梅干しを食べ比べてみました。
 
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 『大谷屋』は創業100年。和歌山県で梅の老舗として、素材本来の味わいを大切にした梅干しづくりをしています。梅干しに使用しているのは、「南高梅」。和歌山県みなべ町が発祥の、皮が薄く、種が小さく、果肉がやわらかい梅です。
 
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■『昔ながらの白干し梅』塩分20%
 
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 塩のみで漬け込み、三日三晩天日に干して仕上げた伝統製法。昔ながらのしょっぱい梅干しは、口にいれると笑みと共に思わず顔にしわが寄ります。
 ほんのりと色づいているのは梅本来の色。果肉がやわらかく、シンプルな味は真っ先に日の丸弁当が頭に浮かびます。

『昔ながらの白干し梅』塩分20% 100g消費税込 626円


■『しそ香梅干』塩分14% 
 
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 赤しそを使って着色するようになったのは、江戸時代からなんだそう。ちりめん赤しそに漬け込んだ梅は、見た目も美しい赤紫色。塩分濃度が下がっただけで、ぐっと食べやすく、しそのさわやかな酸味と香りが楽しめます。

『しそ香梅干』塩分14% 100g消費税込 626円


■『はちみつ風味小梅茶膳』塩分8%
 
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 小梅を使用し、はちみつや旨味の効いた出汁に漬け込んだ梅干しは、酸味が控えめでジャムのようなほんのり甘い仕上がりに。お子さまのおやつやお茶請けにぱくぱく食べちゃいそうですね。


■『三年熟成梅』塩分20%
 
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 三年以上樽の中で熟成された梅は、水分が抜け表面に塩の結晶が光っています。塩の角がとれしょっぱいのにちゃんと旨味を感じる梅干しです。お酒のアテなど、ちょっとずつ食べたい特別な梅干しですね。

『三年熟成梅』塩分20% 100g 消費税込 648円


<酸っぱいから甘くなる?>

 食べ比べて気づいたのは、梅干しとごはんを食べると、ごはんがとっても甘く感じるってこと。
 その理由は、お米のデンプン質が唾液の中のアミラーゼによって分解され、糖類になるから。梅干しを食べることで唾液の分泌が活発になり、塩や酸味が甘みを引き立てて、普段よりもお米の甘みを感じるそうなんです。粒の大きさ、塩分濃度、味の違いもあって、梅干しを知れば好みの梅干し選びが楽しくなりますね。おかゆやお茶漬けなど、食べ方によっておいしさも変わるはず。
 
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<おいしいって調和すること>

 また、私たちの食べ慣れた和食には、意外にも酸味がないですよね。お出汁や醤油の味に梅干しの酸味が加わることで、全体のバランスがとれます。おいしいって調和なんですね。
 お米は日本人の基本。塩は昔から私たちの食文化を支えてきた調味料。いい塩梅に出来てるなあ、と驚きです。

 “梅仕事”という言葉があるほど、梅干しづくりは日本人のライフスタイルに根付いています。梅干しを食べたとき、自然と背筋が伸び、こころまで洗われたような気持ちになるのは、私たちの記憶のどこかに眠っている昔ながらの風景を思い起こすからでしょうか。それは、なんとなく“大丈夫”と言ってくれているようです。
 梅はその日の難逃れ。一日一粒、梅干しを食べて乗り越えた今日は、きっと良いことがあるはずだと思えてきます。そういえば、酸っぱいなあという顔のあとは、自然と笑顔になるものですよね。


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