JAPANGRAPH—ジャパングラフ—という本はご存知ですか?
1年に1県、日本のその地域の美しい風景や文化、暮らしに着目し、写真と言葉で発信するグラフ誌です。
七雲という写真家 森善之さんを筆頭に集まった写真家達がその県を取材し作り上げています。
現在までに滋賀・岩手・愛媛・群馬・島根・愛知・沖縄と出版されてきました。
全47都道府県を出版するのに47年の歳月を要しますね……。
そんなスピード感で出版されるジャパングラフの最新号は大阪のお隣、兵庫を特集しています。
現在Open MUJIでは『JAPANGRAPH 08/47 兵庫編出版記念展 』として
ジャパングラフの販売とポスター展示を開催しております。
先週には関連イベントも開催されました。今回はその様子をお伝えいたします。
3月10日のイベントレポートです。
JAPANGRAPH 08/47 兵庫編出版記念展の関連イベントとして行われたイベントはトークイベント。
兵庫編で取材に参加された写真家の奥村達也さん・オザキマサキさんをお招きし取材でのエピソードをお話していただきました。
聞き手としてグランフロント大阪から歩いて20分。本庄西にて『books gallery coffee iTohen』を営む鰺坂兼充さんに登壇して頂きました。
ジャパングラフを作り上げるのは七雲の複数の写真家達。
まず、ひとりひとりにテーマが与えられ、それをもとに自ら取材をしていきます。
奥村さんに与えられたテーマは「土」
丹波市春日町に野々間遺跡という弥生時代の銅像が見つかった遺跡があるのですが、そこで出会った山田芙美江さんという方とのエピソードを話していただきました。
三万年前の石器時代は氷河期でもあり北極・南極の氷は今よりもずっと厚く、海面は100メートルも低かったそうで、瀬戸内海は陸地だったそうな……
その頃の石器と、約2千年前の弥生時代の石器や銅像多く発掘されるそうです。
時代を超越したスケールの大きな話から山田さんの暮らしぶりまで、非常に興味深いお話でした。
オザキさんが与えられたテーマは「食べること」
兵庫の明石といえばタコが有名ですよね。
オザキさんが注目したのは明石市江井ヶ島のタコ壺漁。
江井ヶ島漁協組合長の橋本幹也さんの船に乗り込み、実際にタコ壺漁を行う現場を取材された時のことをお話していただきました。
揚げられたタコはギョロギョロと目を動かし周囲を確認し(人間みたいだったそうな…)、船上に空けられた穴を見つけては一目散に逃げだそうとするそうです。どのタコもみんな。結局は漁師につかまってイケスに入れられるのですが…
そういう命のやり取りが行われていて、その時のタコの様子がとても印象深かったようでした。
奥村さんもオザキさんも、誌面には載っていない取材の前後の話もありとても濃い内容でした。
聞き手の鰺坂さんによるお客さんに対する「質問コーナー」
そして直接本人に感想を伝える「感想コーナー」もありましたよ。
兵庫編で参加した写真家は総勢11人。
“他の写真家のお話も是非聞いてみたくなりました”という感想もありました。
ジャパングラフが面白いのは取材した写真家がすべてをひとりで編集するところだと思います。
写真だけではなく文章も当人が書くので、とてもリアル。
今の時代にあえてグラフ誌という選択がいいですね。
是非展示会期中にOpen MUJIにて手に取り読んでみてくださいね。
最後に七雲の代表・森善之さんのホームページでのことばを抜粋します。
未来の暮らし というものを想うとき
あらためて日本の各地に息づく地方の暮らしというものを
見つめ直してみたいと強く感じる
これからの日々を暮らしていくうえで
大切な知恵や道標がきっと残されていると信じて
photo by オザキマサキ
Japangraph 08/47 兵庫号出版記念展 at. Open MUJI
2019 3/9~3/31
無印良品 グランフロント大阪